【熱力学 第4講】気体の七変化! ~\( P-V \)グラフと熱力学第一法則の協奏曲~
最終更新日: 2025-07-08 06:41:50
作成者: カリスマ講師
うおおっしゃあああ!その「続きを!」という情熱的なリクエスト、俺の講義魂にガンガン火をつけてくれるぜ!物理のミクロな世界の冒険、ますますヒートアップしていこうじゃないか!👍
前回は、目に見えない気体分子の激しい運動が「圧力」や「温度」を生み出す「気体分子運動論」の入口に立ち、そしてエネルギー保存の普遍的法則「熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \)」を学んだんだったな。その最後に、君の熱力学的思考力を試すアツい宿題を出したはずだ。まずはその答え合わせで、今日の講義に向けて脳みそを最適な温度に調整しようぜ!
【前回の宿題解説】ミクロの熱情とエネルギー保存の鉄則、掴めたか!?
質問1:「理想気体の温度を上げると、気体分子1個あたりの平均運動エネルギーはどうなるんだったかな?」
- カリスマ講師の答え: 理想気体の温度を上げると、気体分子1個あたりの平均運動エネルギーは増加するんだ!
- 理由: 絶対温度 \( T \) は、分子の平均並進運動エネルギー \( \frac{1}{2}m\overline{v^2} \) に直接比例するんだったよな (\( \frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3}{2}k_BT \))。だから、温度が上がれば、分子たちは平均してより元気に、より速く動き回るようになるってことだ!
質問2:「単原子分子理想気体の内部エネルギーは、何だけで決まるんだったっけ?(圧力?体積?温度?物質量?)」
- カリスマ講師の答え: 単原子分子理想気体の内部エネルギー \( U \) は、その絶対温度 \( T \) と物質量 \( n \) だけで決まるんだ! (\( U = \frac{3}{2}nRT \) だったな!)
- 理由: 理想気体では分子間力は無視できるから、位置エネルギーは考えなくていい。そして単原子分子なら回転や振動のエネルギーも(今のところ)無視。だから、内部エネルギーは全分子の運動エネルギーの合計となり、それは温度に直結するってわけだ。体積や圧力が変わっても、温度が変わらなければ内部エネルギーは変化しないんだぜ!(ただし、状態方程式 \( PV=nRT \) を通じて、温度が変われば \( P \) や \( V \) も変わる可能性があることには注意な!)
質問3:「ある気体が断熱的に膨張したとする。「断熱的」ってことは、外部との熱のやり取りがない ( \( Q=0 \)) ってことだ。このとき、もし気体が外部に仕事 \( W \) をしたら(\( W>0 \))、その気体の内部エネルギー \( \Delta U \) はどうなる?(増える?減る?変わらない?)熱力学第一法則から考えてみよう!」
- カリスマ講師の答え: この場合、気体の内部エネルギーは減少する (\( \Delta U < 0 \))!
- 理由: 熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) に、\( Q=0 \) (断熱変化) と \( W>0 \) (外部に仕事をした) を代入すると、\( \Delta U = 0 - W = -W \) となる。\( W \) がプラスの値だから、\( \Delta U \) はマイナスの値になる。つまり、気体は外部に仕事をするために、自分自身の内部エネルギーを使った(そしてその結果、温度が下がる)ってことなんだ。スプレー缶からガスを一気に噴射すると缶が冷たくなるのは、この断熱膨張が起きているからなんだぜ!
さあ、ウォーミングアップは完璧だな! 熱力学第一法則という、エネルギーの出入りに関する宇宙の根本原理を手に入れた我々は、今日、この法則を武器にして、気体がいろんな「変化の仕方」をするときに、熱や仕事、そして内部エネルギーがどうなるのかを、もっと詳しく、もっと具体的に見ていくぞ!
そして、その状態変化を視覚的に、そして直感的に理解するための超強力なツールが「 \( P-V \)グラフ」だ!縦軸に圧力 \( P \)、横軸に体積 \( V \) をとったこのグラフ上で、気体の状態は点で表され、状態変化は点から点への道のり(曲線や直線)として描かれる。このグラフを読み解くことができれば、熱力学の問題は半分以上解けたようなもんだ!
【熱力学 第4講】気体の七変化! ~\( P-V \)グラフと熱力学第一法則の協奏曲~
気体の状態変化を\( P-V \)グラフで見てみよう!
\( P-V \)グラフ上で、気体が状態Aから状態Bに変化するとき、その曲線と\( V \)軸で囲まれた面積が、実は気体が外部にした仕事 \( W \) を表しているんだ!(圧力が一定なら \( W=P\Delta V \) だったけど、圧力が変化する場合はこの面積で考えるのが基本だ)。これはめちゃくちゃ重要なポイントだから、しっかり頭に叩き込んでくれ!
さあ、代表的な4つの状態変化と、それぞれにおける熱力学第一法則の顔つきを見ていこう!
1.定積変化 (Isochoric Process) ~体積は俺の縄張りだ!~
- どんな変化?: 気体の体積 \( V \) が一定のまま変化する。ガッチリした容器に閉じ込められた気体を温めたり冷やしたりするイメージだ。
- 仕事 \( W \) は?: \( \Delta V = 0 \) だから、気体がする仕事 \( W = P\Delta V = \bm{0} \)! ピストンが動かないから仕事はできない。
-
熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) は?: \( W=0 \) なので、\( \bm{\Delta U = Q} \) となる!
- つまり、気体が吸収した熱 \( Q \) は、すべて内部エネルギーの増加 \( \Delta U \) に使われる(だから温度が上がる!)。
- 逆に、気体が放出した熱 \( Q \) は、すべて内部エネルギーの減少 \( \Delta U \) から来る(だから温度が下がる!)。
-
\( P-V \)グラフ: 体積 \( V \) が一定だから、グラフは縦軸に平行な直線(\( V \)軸に垂直な線)になる。
- 関係する法則: 温度 \( T \) と圧力 \( P \) の間には、シャルルの法則(の圧力バージョン)\( \frac{P}{T} = \text{一定} \) が成り立つ。
2.定圧変化 (Isobaric Process) ~圧力は変えさせん!~
- どんな変化?: 気体の圧力 \( P \) が一定のまま変化する。ピストンが自由に動けるシリンダーに気体を入れ、おもりを乗せて外から温めたり冷やしたりするイメージだ。
- 仕事 \( W \) は?: 圧力 \( P \) が一定なので、\( W = P\Delta V = \bm{P(V_2 - V_1)} \)! 体積が増えれば気体はプラスの仕事をし、体積が減ればマイナスの仕事(つまり外部から仕事をされる)をする。
-
熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) は?: \( \bm{\Delta U = Q - P\Delta V} \) となる。
- 吸収した熱 \( Q \) は、内部エネルギーの増加 \( \Delta U \) と、外部への仕事 \( P\Delta V \) の両方に使われるんだ。だから、同じ熱量を加えても、定積変化のときほど温度は上がりにくい。
-
\( P-V \)グラフ: 圧力 \( P \) が一定だから、グラフは横軸に平行な直線(\( P \)軸に垂直な線)になる。
- 関係する法則: 体積 \( V \) と温度 \( T \) の間には、シャルルの法則 \( \frac{V}{T} = \text{一定} \) が成り立つ。
3.等温変化 (Isothermal Process) ~温度だけはキープするぜ!~
- どんな変化?: 気体の絶対温度 \( T \) が一定のまま変化する。熱を伝えやすい容器に気体を入れ、ゆっくりとピストンを動かして膨張させたり圧縮したりするイメージだ(周囲と熱をやり取りして温度を保つ)。
- 内部エネルギーの変化 \( \Delta U \) は?: 理想気体の内部エネルギーは温度だけで決まるんだったよな (\( U=\frac{3}{2}nRT \)など)。だから、温度 \( T \) が一定なら、\( \Delta U = 0 \)!
-
熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) は?: \( \Delta U = 0 \) なので、\( 0 = Q - W \implies \bm{Q = W} \) となる!
- つまり、気体が吸収した熱 \( Q \) は、すべて外部への仕事 \( W \) に使われる。内部エネルギーは変化しない。
- 逆に、気体が外部から仕事をされたら (\( W<0 \))、その分の熱を外部に放出する (\( Q<0 \))。
-
\( P-V \)グラフ: \( PV = nRT = \text{一定} \) だから、グラフは反比例の曲線(双曲線)になる。この曲線を「等温線」というぞ。
- 関係する法則: ボイルの法則 \( PV = \text{一定} \) が成り立つ。 (気体がする仕事 \( W \) は、\( P-V \)グラフの面積で、\( W = nRT \ln(V_2/V_1) \) と書けるけど、高校ではこの積分計算はあまり問われない。でも面積で表されることは知っておこう!)
4.断熱変化 (Adiabatic Process) ~熱の出入りはシャットアウト!~
- どんな変化?: 気体が外部との熱のやり取りを一切しないで変化する。魔法瓶のような断熱された容器の中で気体を急激に膨張させたり圧縮したりするイメージだ。
- 熱量 \( Q \) は?: 熱の出入りがないから、\( \bm{Q=0} \)!
-
熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) は?: \( Q=0 \) なので、\( \bm{\Delta U = -W} \) となる!
- つまり、気体が外部に仕事 \( W \) をすると(断熱膨張)、その仕事の分だけ内部エネルギー \( \Delta U \) が減少し、温度が下がる!
- 逆に、気体が外部から仕事をされると(断熱圧縮)、その仕事の分だけ内部エネルギー \( \Delta U \) が増加し、温度が上がる!
-
\( P-V \)グラフ: 等温線よりも傾きが急な曲線になる。断熱膨張すると温度が下がるから、同じ体積まで膨張しても等温変化のときより圧力が低くなるんだ。
- 関係する法則: ポアソンの法則 \( PV^\gamma = \text{一定} \) という関係が成り立つ (\( \gamma \) は比熱比といって、気体の種類で決まる定数。単原子分子理想気体なら \( \gamma = 5/3 \) だ)。この式はちょっと難しいけど、知っておくと便利だ。
状態変化のまとめと\( P-V \)グラフでの比較
同じ最初の状態から、同じ体積まで気体を膨張させるときの \( P-V \) グラフを重ねて描いてみると、それぞれの変化の違いがよくわかる。
- 定圧変化: 水平な線。仕事(面積)は大きい。温度は上がる。
- 等温変化: なだらかな反比例の曲線。温度は一定。
- 断熱変化: 等温線より急な曲線。仕事はするけど、内部エネルギーを消費するので温度は下がる。
- 定積変化: (膨張の場合は考えにくいけど、もし体積変化なしなら)垂直な線。仕事はゼロ。
これらの特徴をしっかり押さえておけば、熱力学の問題でどんな変化が出てきても怖くないぜ!
ふぅー!今日の講義も、気体のいろんな顔が見えてきて面白かったんじゃないか? 定積、定圧、等温、断熱… それぞれの変化で、熱 \( Q \)、仕事 \( W \)、内部エネルギー \( \Delta U \) がどうなるのか、熱力学第一法則 \( \Delta U = Q - W \) を使って整理できるようになったはずだ!
最後に、今日の学びを脳みそに定着させるための、燃える闘魂注入問題だ! 1. 気体を「定積加熱」したとき(体積一定で熱を加えたとき)、気体が外部にした仕事はいくらかな? そして、加えられた熱は全て何に変わるんだったっけ? 2. 気体が「等温膨張」するとき、その内部エネルギーは増える?減る?それとも変わらない? その理由も説明できるかな? 3. 自転車のタイヤに空気入れで勢いよく空気を入れると、ポンプの筒が熱くなることがあるよね。これは、ポンプの中の空気がどんな変化をしていると考えると説明できそうかな?(ヒント:急激な圧縮は… ?)
次回は、いよいよこの熱力学第一法則を使った具体的な計算問題の演習や、いくつかの状態変化を組み合わせた「熱サイクル」と、それを利用した「熱機関(エンジンとか)」の効率について深く掘り下げていくぞ!熱力学の面白さが頂点に達する瞬間を見逃すな! それじゃ、また次回!今日の\( P-V \)グラフ、夢に出てくるくらい眺めておけよな!健闘を祈る!🔥