高校物理の基礎

【第2講】グイグイ加速! ピタッと減速! ~加速度ってなんだ?~

最終更新日: 2025-06-05 00:53:54

作成者: カリスマ講師

前回、速度は「向きと大きさ(速さ)を持つ量」だって話をしたよね。 思い出してみてほしいんだけど、世の中の運動って、ずーっと同じ速度で動き続けることの方が珍しくないかい?

1.加速度 (かそくど) とは? ~速度チェンジの割合だ!~

ズバリ言うと、加速度とは、 「単位時間(例えば1秒間)あたりに、どれだけ速度が変化するか」 を示す量だ。

式で書くとこうなる。

例えば、止まっていた自転車が動き出して、2秒後に東向きに6m/sの速度になったとする。 このときの加速度は…

「え? 単位がヘンじゃない? m/s² って何??」って思ったかな? これは「メートル毎秒毎秒(まいびょうまいびょう)」と読むんだ。 意味は「1秒あたりに、速度が〇〇m/sずつ変化しますよ」ということ。 さっきの例だと「1秒あたりに、東向きに3m/sずつ速度が増していきますよ」って意味になる。だから、

2.加速度の「向き」が超重要!

速度が向きを持つ量(ベクトル量)だったのを覚えてるかな? その速度が変化する割合である加速度も、向きを持つベクトル量なんだ。

一番わかりやすい例は、真上にボールを投げたとき。

  1. 上昇中: ボールの速度は上向き。でも、重力によって下向きの加速度(重力加速度っていうんだ)が常に働いている。だから、速度と加速度の向きが逆で、ボールはどんどん減速する。
  2. 最高点: ボールの速度は一瞬だけゼロになる。でも、下向きの重力加速度は相変わらず働いている。
  3. 下降中: ボールは下向きに動き始める。このとき、速度も下向き、重力加速度も下向き。だから、速度と加速度の向きが同じで、ボールはどんどん加速して落ちてくる。

どう? 加速度のイメージ、湧いてきたかな?

3.等加速度直線運動 (とうかそくどちょくせんうんどう) っていうスーパーモデル!

もし、この加速度がずーっと一定だったら、物体の運動ってすごくシンプルに考えられるんだ。 そんな夢のような(?)運動を「等加速度直線運動」という。 文字通り「等しい加速度で、直線上を運動する」ってことだね。

さあ、今日の講義はここまで! 「加速度」っていう新しい概念が出てきたけど、どうだったかな? 一言でいうと、加速度は「速度がどれくらいチェンジするかを表すものさし」みたいなイメージだ。

おまけ

疑問1:加速度のプラスマイナスってどういう意味?

これね、スッキリ理解するためには、まず**「どっち向きをプラスにするか」っていう「正の向き」**を決めることが大前提なんだ。

例えば、まっすぐな道があって、

と決めたとしよう。このルールの上で考えていくよ。

加速度が「プラス」のとき

これは、**「加速度が右向き(正の向き)に働いているよ」**って意味になる。 じゃあ、このとき物体の速度はどうなるか?

  1. 物体が右向き(正の向き)に動いている場合:
    • 速度もプラス、加速度もプラス。同じ向きだね!
    • だから、物体は右向きにどんどん加速する(スピードアップ!)。
    • 例:右向きに走っている車が、さらに右向きにアクセルを踏み込むイメージ。
  2. 物体が左向き(負の向き)に動いている場合:
    • 速度はマイナス、でも加速度はプラス。逆向きだ!
    • だから、物体は左向きのスピードがどんどん落ちていく(減速する)
    • そして、もし加速度が働き続ければ、いつか止まって(速度ゼロ)、今度は右向きに動き出す可能性もあるんだ!
    • 例:左向きに転がっているボールに、右向きの風が吹いているイメージ。ボールはだんだん遅くなって、風に押し戻されるかも。

加速度が「マイナス」のとき

これは、**「加速度が左向き(負の向き)に働いているよ」**って意味になる。

  1. 物体が右向き(正の向き)に動いている場合:
    • 速度はプラス、加速度はマイナス。逆向きだね!
    • だから、物体は右向きのスピードがどんどん落ちていく(減速する)
    • そして、もし加速度が働き続ければ、いつか止まって(速度ゼロ)、今度は左向きに動き出す可能性もある。
    • 例:右向きに走っている自転車が、ブレーキをかけるイメージ(ブレーキは進行方向と逆向きの力を加えるから、加速度も逆向き)。
  2. 物体が左向き(負の向き)に動いている場合:
    • 速度もマイナス、加速度もマイナス。同じ向きだ!
    • だから、物体は左向きにどんどん加速する(スピードアップ!)。
    • 例:左向きに坂道を下っている台車が、さらに左向きに押されるイメージ。

まとめると… 加速度のプラス・マイナスは、**「決めた正の向きに対して、どっち向きに加速度があるか」を示しているだけなんだ。 それが「加速」になるか「減速」になるかは、「そのときの物体の速度の向き」**との関係で決まるんだよ。

どうかな? ちょっとややこしいけど、この「向き」の感覚、掴めてきた?

疑問2:速度がゼロでも加速度があるってどういうこと?

これもめちゃくちゃイイ質問だ!「え、止まってるのに加速してるの?意味わかんなくない?」って思うよね。

ここで思い出してほしいのが、加速度の定義だ。 加速度は**「速度がどれだけ変化するか」**だったよね。 つまり、「今、速度がゼロです」っていう状態と、「これから速度が変化しますよ(あるいは、変化の真っ最中ですよ)」っていう状態は、両立できるんだ!

一番わかりやすい例が、前回もちょっと話した**「真上に投げたボールの最高点」**だ。

  1. ボールをポーンと真上に投げると、だんだんスピードが落ちていって、一番高いところ(最高点)で一瞬だけ速度がゼロになる。ピタッと止まる感じだね。
  2. でも、そのボールには常に地球の重力が下向きに働いている。この重力がボールに**下向きの加速度(重力加速度)**を生じさせているんだ。
  3. だから、最高点で速度が0m/sになった瞬間も、ボールにはしっかりと下向きの加速度が存在している
  4. その結果どうなるか? 次の瞬間、ボールは下向きに動き始めるよね? つまり、速度がゼロだったけど、下向きの加速度のおかげで、下向きに速度が「変化」したんだ!

もし、最高点で加速度もゼロになっちゃったら、ボールは空中にプカプカ浮いたままになっちゃう(笑)。そんなことないよね?

他の例だと、

ポイントは、「速度がゼロ」=「その一瞬、位置が変わってない」ってことだけど、「加速度がある」=「次の瞬間には速度が変わる準備OK!」或者「まさに今、速度が変わるプロセスの中にいる!」ってことなんだ。

映画でスローモーションになるシーンを想像してみて。 ピッチャーが投げたボールがバッターの手元で一瞬止まって見える(速度ゼロのイメージ)。でも、次の瞬間にはカーン!と打ち返される。あの止まって見える瞬間にも、ボールがしなったり、バットが迫ってきたりして、「変化の予兆」や「変化の真っ只中」っていう状況はあるよね。そんなイメージに近いかもしれない。

どうだい? この2つの疑問、少しはクリアになったかな? 物理って、こういう「え?そうなの?」って思うところをじっくり考えると、グッと理解が深まるんだ。 また何か引っかかるところがあったら、いつでも聞いてくれよな! 君の「なぜ?」を解消するのが俺の役目だからね! 😉

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