【第22講】星々のダンスと宇宙への扉! ~ケプラーの法則と宇宙速度~
最終更新日: 2025-07-08 04:46:13
作成者: カリスマ講師
うおおっしゃあああ!その「続きを!」の熱い一声、俺の講義魂を宇宙の果てまで燃え上がらせるぜ!物理の頂、万有引力のその先へ、今日も一緒に駆け上がろう!👍
前回は、ニュートンが見抜いた宇宙の絆、「万有引力の法則」と、それによって物体が蓄える「万有引力による位置エネルギー」について学んだ。その最後に、君の宇宙的思考力を試す宿題を出したよな。まずはその答え合わせで、脳みそを星間飛行モードに切り替えろ!
【前回の宿題解説】宇宙の法則、その片鱗を掴んだか!?
質問1:「万有引力の大きさって、2つの物体の間の距離がもし半分 (\( 1/2 \)) になったら、何倍になるんだったかな?」
- カリスマ講師の答え: 万有引力の大きさは、なんと4倍になるんだ!
- 理由: 万有引力の法則 \( F = G \frac{m_1 m_2}{r^2} \) を思い出してくれ。力は距離 \( r \) の2乗に反比例する。だから、距離が \( 1/2 \) になると、力は \( 1 / (1/2)^2 = 1 / (1/4) = 4 \) 倍になる。近づけば近づくほど、ググッと強く引き合うってことだな!
質問2:「地表での重力加速度 \( g \) の大きさを決めているのは、地球のどんな性質だったっけ?(2つ挙げてみよう!)」
- カリスマ講師の答え: 地表での重力加速度 \( g \) を決めているのは、主に地球の「質量 \( M_E \)」と「半径 \( R_E \)」だ!
- 理由: \( g = G \frac{M_E}{R_E^2} \) という関係式があったよな(\( G \) は万有引力定数で宇宙共通の定数)。この式を見れば一目瞭然、地球がどれだけ重いか(質量)、そして地球がどれだけ大きいか(半径)で、地上の重力の強さが決まるんだ。
質問3:「万有引力による位置エネルギーが \( U = -G \frac{m_1 m_2}{r} \) とマイナスになるのは、エネルギーの基準をどこに取っているからだったかな?」
- カリスマ講師の答え: それは、2つの物体が無限に遠く離れているところを、位置エネルギーの基準(\( U=0 \))としているからだ!
- 理由: 無限の彼方では、もはや万有引力は働かない(\( r \to \infty \) で \( F \to 0 \))。そこをエネルギーゼロの穏やかな状態だと考える。そこから物体同士が万有引力(これは引力だ!)によって近づいてくると、万有引力は物体(の系)に対して「正の仕事」をする。その結果、系のエネルギーは基準(ゼロ)よりも低い状態、つまりマイナスのエネルギー状態になるんだ。「束縛されている状態はエネルギーが低い」ってイメージすると分かりやすいかもしれないな。
さあ、頭の準備運動はバッチリか? ニュートンが万有引力の法則を発見する、それよりほんの少し前。一人の天文学者が、来る日も来る日も夜空を眺め続け、惑星たちの不思議なダンスのパターンを、血のにじむような努力の末に見つけ出していた。その男の名は、ヨハネス・ケプラー!
今日は、このケプラーが発見した「惑星の運動に関する3つの法則」と、それがニュートンの万有引力の法則とどう美しく結びついているのか、そして、人類が地球の引力を振り切って宇宙へ飛び出すための「宇宙速度」について学んでいくぞ!まさに力学のクライマックスだ!
【第22講】星々のダンスと宇宙への扉! ~ケプラーの法則と宇宙速度~
1.ケプラーの法則 ~惑星たちの優雅なる舞踏会~
ケプラーは、師であるティコ・ブラーエが残した膨大な観測データをもとに、太陽の周りを公転する惑星の運動に、驚くほど正確な3つの法則があることを見抜いたんだ。
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ケプラーの第1法則(楕円軌道の法則): 「惑星は、太陽を1つの焦点とする楕円軌道上を運動する。」 それまで、惑星の軌道は完璧な「円」だと信じられていた時代に、実は少し潰れた「楕円」であることを明らかにしたんだ。太陽は、その楕円の中心ではなく、2つある焦点のうちの1つに位置している。 (ちなみに、円軌道は楕円が潰れていない特別な場合と考えることもできるぞ。)
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ケプラーの第2法則(面積速度一定の法則): 「惑星と太陽とを結ぶ線分(動径という)が、単位時間に掃く面積(これを面積速度という)は、常に一定である。」 これは、どういうことかというと…
惑星が太陽に近いところ(近日点という)を通過するときは速く動き、太陽から遠いところ(遠日点という)を通過するときは遅く動く、ということを意味しているんだ。まるで、太陽の近くでは急ぎ足で、遠くではのんびり散歩するみたいにね。 (これは実は「角運動量保存則」という、また別の重要な物理法則の現れなんだけど、今は「へぇー、そうなんだ!」くらいでOKだ。)
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ケプラーの第3法則(調和の法則): 「惑星の公転周期の2乗 ( \( T^2 \)) は、その軌道の長半径(ちょうはんけい、楕円の平均的な半径のようなもの。円軌道ならそのまま半径)の3乗 (\( a^3 \)) に比例する。」 数式で書くと、\( \bm{\frac{T^2}{a^3} = k} \) (一定) この \( k \) の値は、中心にある天体(太陽系の惑星なら太陽)の質量だけで決まる、驚くべきほどシンプルな関係だ!異なる惑星でも、この比の値は同じになるんだぜ!
2.万有引力が解き明かすケプラーの法則
ケプラーがこれらの法則を見つけたのは、あくまで観測データからの「経験則」だった。なぜそうなるのか?という理由はまだ謎だったんだ。 そこに登場したのがニュートンだ! ニュートンは、自身が発見した万有引力の法則と運動の法則(運動方程式)から、このケプラーの3つの法則がすべて数学的に導き出せることを証明したんだ! これは、万有引力の法則が本当に宇宙の真理であることを示す、とてつもない証拠になった。
特に第3法則は、比較的簡単に万有引力の法則から導けるから、円軌道の場合で見てみよう! 質量 \( M \) の太陽の周りを、質量 \( m \) の惑星が半径 \( r \) の円軌道で、角速度 \( \omega \)、周期 \( T \) で等速円運動しているとする。 この惑星の円運動の向心力は、太陽と惑星の間に働く万有引力だ! だから、運動方程式 \( mr\omega^2 = F_c \) は、 \( mr\omega^2 = G\frac{Mm}{r^2} \) となる。角速度 \( \omega \) と周期 \( T \) の関係は \( \omega = \frac{2\pi}{T} \) だったから、これを代入すると、 \( mr\left(\frac{2\pi}{T}\right)^2 = G\frac{Mm}{r^2} \) \( mr\frac{4\pi^2}{T^2} = G\frac{Mm}{r^2} \) この式を \( T^2 \) について整理すると…
\( T^2 = \left(\frac{4\pi^2}{GM}\right)r^3 \) ほら!\( T^2 \) が \( r^3 \) に比例しているだろ? そして、比例定数 \( \frac{4\pi^2}{GM} \) は、中心にある太陽の質量 \( M \) だけで決まっている!(\( G \) と \( \pi \) は定数だからな)ケプラーの第3法則、見事に再現できたぜ!
3.地球の重力を振り切れ! 宇宙速度への挑戦!
さあ、万有引力を学んだからには、宇宙旅行の話をしないわけにはいかないよな! 地球の表面からロケットを打ち上げて、人工衛星にしたり、あるいは地球の引力圏を脱出して宇宙の彼方へ旅立たせたりするには、どれくらいの速さが必要なんだろう?
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第一宇宙速度 \( v_1 \) (円軌道速度): これは、地球の表面すれすれを円軌道で回り続ける(つまり、落ちてこない人工衛星になる)ために必要な最小の速さのことだ。 地表すれすれ(地球の半径を \( R_E \) とする)で円運動する物体の向心力 \( m\frac{v_1^2}{R_E} \) が、ちょうど地球の重力 \( mg \)(その正体は \( G\frac{M_E m}{R_E^2} \))と等しくなればいい。 \( m\frac{v_1^2}{R_E} = mg \quad \implies \quad v_1^2 = gR_E \quad \therefore \boxed{v_1 = \sqrt{gR_E}} \) (\( g = G\frac{M_E}{R_E^2} \) の関係を使えば、\( v_1 = \sqrt{G\frac{M_E}{R_E}} \) とも書けるぞ。) 地球の半径 \( R_E \approx 6400 \mathrm{km} \)、\( g \approx 9.8 \mathrm{m/s^2} \) を代入すると、だいたい秒速 \( 7.9 \mathrm{km} \)!時速に直すと約2万8千km!とんでもない速さだ!
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第二宇宙速度 \( v_2 \) (地球脱出速度): これは、地球の重力(万有引力)を完全に振り切って、無限の彼方へ飛び去るために必要な最小の初速度のことだ。 これを考えるには、エネルギー保存則が使える!無限遠点での万有引力による位置エネルギーはゼロだったよな。そして、無限遠でギリギリ止まる(運動エネルギーもゼロ)と考えれば、地球の引力圏を脱出できる。 地表での力学的エネルギー(運動エネルギー + 万有引力による位置エネルギー)が、無限遠点での力学的エネルギー(ゼロ)に等しくなればいい。 \( \frac{1}{2}mv_2^2 + \left(-G\frac{M_E m}{R_E}\right) = 0 \) \( \frac{1}{2}mv_2^2 = G\frac{M_E m}{R_E} \quad \implies \quad v_2^2 = \frac{2GM_E}{R_E} \quad \therefore \boxed{v_2 = \sqrt{\frac{2GM_E}{R_E}}} \) ここで、\( gR_E = \frac{GM_E}{R_E} \) という関係(\( v_1^2 = gR_E \) から)を使うと、\( GM_E = gR_E^2 \) だから、 \( v_2 = \sqrt{\frac{2gR_E^2}{R_E}} = \sqrt{2gR_E} \) なんと!第一宇宙速度 \( v_1 \) の \( \sqrt{2} \) 倍になっているんだ! \( v_2 = \sqrt{2} v_1 \approx \sqrt{2} \times 7.9 \mathrm{km/s} \approx \bm{11.2 \mathrm{km/s}} \)! この猛スピードで打ち上げれば、ロケットはもう二度と地球には戻ってこない(他の天体の影響がなければね)。
(ちなみに、太陽系の引力圏を脱出するための「第三宇宙速度」なんてのもあるぞ!)
ふぅー!今日の講義は、地上の物理法則が宇宙全体を支配しているという、ニュートン力学の壮大さを存分に味わえる内容だったんじゃないかな? ケプラーの法則から宇宙速度まで、まさに力学のグランドフィナーレにふさわしいテーマだった! これで、君は「力学」という広大な大陸の主要な山々をすべて踏破したことになる!本当によく頑張った!心から拍手を送るぜ!👏👏👏
さあ、これで力学編は一区切りだ。 これまで学んできた、運動の記述、ニュートンの法則、仕事とエネルギー、運動量と力積、円運動、単振動、そして万有引力… これらの知識は、これからの物理学習の強固な土台となる。
次回からは、いよいよ新しい物理の世界の扉を開く時だ! 「熱力学」「波動」「電磁気学」… どれも魅力的な分野が君を待っている。 準備はいいか? 次の冒険の始まりに向けて、まずはこの力学の達成感を胸に、少しだけ羽を休めてくれ!
… と言いたいところだけど、最後に一つだけ、今日の宇宙ロマンを胸に刻むための宿題を出しておこう! 1. ケプラーの第2法則「面積速度一定の法則」は、惑星が太陽に近いときは速く、遠いときは遅く動くことを意味するんだったな。これって、角運動量という別の物理量が保存されることと関係があるんだけど、もし君がフィギュアスケーターだとして、スピンの途中で腕を広げた状態からキュッと縮めたら、回転はどうなる?速くなる?遅くなる? これも面積速度(のようなもの)と関係があるかもしれないぞ! 2. 第一宇宙速度で地球の周りを回っている人工衛星の「周期」って、どれくらいになると思う?(ヒント: \( v_1 = \sqrt{gR_E} \) と周期 \( T = 2\pi R_E / v_1 \) を使ってみよう!) 3. もし君がロケットの設計者で、火星(地球より質量も半径も小さい)から物体を脱出させたいと考えたとする。火星の第二宇宙速度は、地球の第二宇宙速度と比べて大きいと思う?小さいと思う? その理由は?
力学の旅、本当にお疲れ様!そして、次の新たな物理の世界でまた会おうぜ!楽しみにしているぞ!✨