【第18講】跳ね返りの法則! ~反発係数と衝突エネルギーの行方~
最終更新日: 2025-06-23 08:36:02
作成者: カリスマ講師
うおおっしゃあああ!その「続きを!」の一言が、俺の講義魂に火をつけるぜ!物理の頂への道、一気に駆け上がる準備はできてるか!?👍
前回は、「運動量」と「力積」、そしてそれらが支配する「運動量保存則」っていう、衝突現象を解き明かすための新たな剣を手に入れたんだったな。その切れ味を確かめるために、最後に熱い挑戦状を叩きつけたはずだ。まずはその答え合わせで、今日の講義に向けて脳のエンジンを全開にするぞ!
【前回の宿題解説】衝撃の奥義、その本質を見抜けたか!?
質問1:「同じ質量の鉄球と綿あめが、同じ速さで君に向かって飛んできたとする。どっちを止める方が「運動量の変化」が大きいかな?(ヒント:止める=運動量がゼロになる)」
- カリスマ講師の答え: 鉄球だろうが綿あめだろうが、質量と速さが同じなら、初めの運動量 \( mv \) は同じだ。そして、止めるということは、終わりの運動量をゼロにするってこと。だから、運動量の変化 (\( \Delta p = p_{後} - p_{前} = 0 - mv = -mv \)) の大きさは、どっちも同じなんだ! ただ、実際に止める感覚は全然違うよな? 鉄球はずっしりとした衝撃を感じるけど、綿あめはフワッと受け止められる。これは、同じ力積を与える(同じ運動量変化を生じさせる)にしても、鉄球のような硬いものはごく短い時間で大きな力(衝撃力)が働き、綿あめのような柔らかいものは長い時間かけて小さな力が働く、という違いがあるからなんだ。力積 \( \vec{I} = \vec{F}\Delta t \) の関係を思い出してくれ!
質問2:「野球のバッティングで、ピッチャーが投げた速いボールを打ち返すのと、トスバッティングで軽く上げられたボールを打つのとでは、バットがボールに与えるべき「力積」はどっちが大きいと思う?(ボールの質量は同じで、打ち返した後のボールの速さも同じくらいだとして考えてみてくれ!)」
- カリスマ講師の答え: これは間違いなく、ピッチャーが投げた速いボールを打ち返す方が、バットがボールに与えるべき力積は大きい!
- 理由: 力積は運動量の変化に等しい (\( \vec{I} = \Delta \vec{p} \))。
- ピッチャーの球:初めの運動量 \( \vec{p}_i \) は非常に大きく、しかもバッターに向かってくる(例えばマイナス方向)。それを逆向き(プラス方向)に同じくらいの速さで打ち返すには、運動量の変化 \( \Delta \vec{p} = \vec{p}_f - \vec{p}_i \) は、\( (\text{大きなプラスの運動量}) - (\text{大きなマイナスの運動量}) \) となって、変化の「大きさ」はめちゃくちゃ大きくなる。
- トスされた球:初めの運動量 \( \vec{p}_i \) は小さい(あるいはほぼゼロに近い)。それを打ち返すときの運動量の変化は、ピッチャーの球を打ち返すときほど大きくはならない。 だから、速い球を打ち返すには、バットはより大きな衝撃(力積)をボールに与えなきゃいけないんだ!
質問3:「二人がスケートボードに乗っていて、お互いをポンと押し合ったとしよう(最初は二人とも静止していたとする)。押した後の二人の運動量の合計はどうなると思う?(ヒント:運動量保存則!)」
- カリスマ講師の答え: 押した後の二人の運動量の合計は、押す前の運動量の合計と同じ、つまりゼロになるんだ!(ベクトルとして合計するとね!)
- 理由: 二人(とスケートボード)を一つの「系(システム)」として考えると、お互いを押し合う力は「内力」だ。水平方向には他に大きな外力が働いていないとすれば、この系の全運動量は保存される。 初め二人とも静止していたから、系の全運動量はゼロ。だから、押し合った後も、二人の運動量をベクトル的に足し合わせればゼロになるはずだ。つまり、一方が右向きに運動量 \( p \) を持てば、もう一方は必ず左向きに同じ大きさの運動量 \( p \) を持って、合計ゼロを保つってことさ!
さあ、頭の準備運動はバッチリだな! 前回は運動量保存則の強力さの一端を垣間見たけど、今日はその剣をさらに研ぎ澄まし、様々な「衝突」の場面でどう立ち回るかを徹底的にマスターしていくぞ! 衝突って言っても、ただぶつかるだけじゃない。キレイに跳ね返るのか、グチャっとくっついちゃうのか… その違いは何で決まるんだろう?その秘密兵器が「反発係数(はねかえりけいすう)」だ!
【第18講】跳ね返りの法則! ~反発係数と衝突エネルギーの行方~
反発係数 (Coefficient of Restitution) \( e \) ~跳ね返り具合のバロメーター~
物体同士がぶつかったとき、どれくらい「弾性的に」跳ね返るか、その度合いを示すのが反発係数 \( e \) だ。「はねかえり係数」とも言うぞ。
一直線上での2物体の衝突を考えよう。 衝突前の物体1, 2の速度をそれぞれ \( v_1, v_2 \)、衝突後の速度をそれぞれ \( v_1', v_2' \) とすると、反発係数 \( e \) は、 「衝突後の相対速度の大きさ」と「衝突前の相対速度の大きさ」の比で定義される。
\( \Large{e = \frac{|v_1' - v_2'|}{|v_1 - v_2|}} \)
ここで、分子は衝突後に2物体が遠ざかる(あるいは近づく)速さ、分母は衝突前に2物体が近づく(あるいは遠ざかる)速さを表している。 一直線上の衝突では、速度の向きも考慮して(例えば右向きを正とする)、もっと使いやすい形で書かれることが多い。
\( \Large{e = -\frac{v_1' - v_2'}{v_1 - v_2}} \) または、これを変形して \( \Large{v_1' - v_2' = -e(v_1 - v_2)} \)
このマイナス符号は、「衝突前後の相対速度の向きが逆になる」ということを考慮したものだ(近づいてきたものが、跳ね返って遠ざかるイメージ)。
反発係数 \( e \) の値が教えてくれること!
この \( e \) の値によって、衝突のタイプが分類できるんだ。
- \( \bm{e=1} \) のとき:弾性衝突(だんせいしょうとつ) または 完全弾性衝突
- まるでスーパーボールみたいに、勢いを失わずに完全に跳ね返る理想的な衝突だ。
- このとき、実は運動エネルギーも保存されるんだ!
- \( \bm{0 \le e < 1} \) のとき:非弾性衝突(ひだんせいしょうとつ)
- 現実の多くの衝突はこれ。跳ね返るけど、少し勢いが失われる。粘土をぶつけるようなイメージ。
- 運動エネルギーは保存されず、一部が熱や音、物体の変形なんかに使われちゃう。
- \( \bm{e=0} \) のとき:完全非弾性衝突(かんぜんひだんせいしょうとつ)
- 衝突後、2つの物体は完全にくっついちゃって、一体となって同じ速度で運動する。泥団子同士がぶつかるイメージ。
- 運動エネルギーの損失が最も大きい衝突だ。
反発係数 \( e \) は、衝突する物体の材質とか、表面の状態とかによって決まる、0から1の間の値を取る物質固有の定数だと考えられることが多い。
直線上の衝突問題を解く黄金コンビ!
さあ、一直線上で2つの物体(質量 \( m_1, m_2 \)、衝突前速度 \( v_1, v_2 \)、衝突後速度 \( v_1', v_2' \))が衝突する問題を解くとき、未知数は \( v_1' \) と \( v_2' \) の2つだ。だから、方程式が2本必要になる。その黄金コンビがこれだ!
- 運動量保存則: \( \bm{m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'} \) (これは、外力が働かない限り、どんな衝突でも必ず成り立つ最強の法則!)
- 反発係数の式: \( \bm{v_1' - v_2' = -e(v_1 - v_2)} \) (衝突のタイプ(\( e \)の値)が分かっていれば使える!)
この2つの式を連立させて解けば、 \( v_1' \) と \( v_2' \) がバッチリ求まるんだ!
例題演習1:完全制覇! 直線上の弾性衝突 (\( e=1 \))
問題: 「質量 \( m_1 = 2.0 \mathrm{kg} \) の物体Aが、右向きに速さ \( v_1 = 4.0 \mathrm{m/s} \) で進み、前方に静止していた質量 \( m_2 = 3.0 \mathrm{kg} \) の物体Bに弾性衝突した(\( e=1 \))。衝突後の物体Aの速度 \( v_1' \) と物体Bの速度 \( v_2' \) を求めよ。右向きを正とする。」
- カリスマ講師の解法ナビ!
- 運動量保存則を立てる: \( m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2' \) \( (2.0)(4.0) + (3.0)(0) = (2.0)v_1' + (3.0)v_2' \) \( 8.0 = 2.0v_1' + 3.0v_2' \) …
①
2. **反発係数の式を立てる** (e=1): v_1' - v_2' = -e(v_1 - v_2) v_1' - v_2' = -1 \times (4.0 - 0) v_1' - v_2' = -4.0 …
②
3. **連立方程式を解く**: ②式から v_1' = v_2' - 4.0 として、これを①式に代入する。 8.0 = 2.0(v_2' - 4.0) + 3.0v_2' 8.0 = 2.0v_2' - 8.0 + 3.0v_2' 16.0 = 5.0v_2' \therefore \boxed{v_2' = \frac{16.0}{5.0} = 3.2 \mathrm{m/s}} (右向き) これを v_1' = v_2' - 4.0 に代入して、 v_1' = 3.2 - 4.0 = -0.8 \mathrm{m/s} \therefore \boxed{v_1' = -0.8 \mathrm{m/s}} (左向きに 0.8 \mathrm{m/s}!) 面白い結果になったな!AはBにぶつかって、跳ね返されて左向きに動くようになったんだ。 **もし質量が同じだったら? (m_1 = m_2 = m)** この場合、計算してみると v_1' = v_2 (つまり0)、v_2' = v_1 となって、まるで速度が入れ替わるような結果になるんだ。ビリヤードの玉が正面衝突したときなんかは、これに近いことが起こるぞ!
例題演習2:くっついちゃった! 直線上の完全非弾性衝突 (\( e=0 \))
問題: 「質量 \( m_1 = 2.0 \mathrm{kg} \) の物体Aが、右向きに速さ \( v_1 = 3.0 \mathrm{m/s} \) で進み、前方に静止していた質量 \( m_2 = 1.0 \mathrm{kg} \) の物体Bに衝突し、一体となった(\( e=0 \))。一体となった後の速度 \( V \) を求めよ。」
- カリスマ講師の解法ナビ! これは前回やった例題と同じ状況だけど、反発係数の視点からも見てみよう! 一体となったということは、\( v_1' = v_2' = V \) となる。
- 運動量保存則: \( m_1 v_1 + m_2 v_2 = (m_1 + m_2)V \) \( (2.0)(3.0) + (1.0)(0) = (2.0 + 1.0)V \) \( 6.0 = 3.0V \quad \therefore \boxed{V = 2.0 \mathrm{m/s}} \) (右向き)
- 反発係数の式 (確認のため): \( v_1' - v_2' = -e(v_1 - v_2) \) \( V - V = -0 \times (3.0 - 0) \) \( 0 = 0 \) ちゃんと成り立っているな! \( e=0 \) の場合は、運動量保存則だけで速度が求まっちゃうことが多いんだ。
衝突とエネルギー ~エネルギーはどこへ行った?~
- 弾性衝突 ( \( e=1 \)) の場合: 運動量だけでなく、力学的エネルギー(特に運動エネルギーの合計)も保存される、とっても理想的な衝突だ。 \( \frac{1}{2}m_1 v_1^2 + \frac{1}{2}m_2 v_2^2 = \frac{1}{2}m_1 (v_1')^2 + \frac{1}{2}m_2 (v_2')^2 \) 実は、運動量保存則とこの運動エネルギー保存則を連立させても衝突後の速度は求まるんだけど、計算が2次式になってちょっと面倒くさい。だから、反発係数の式を使う方が楽なことが多いんだ。
- 非弾性衝突 ( \( 0 \le e < 1 \)) の場合: 運動量は保存されるけど、運動エネルギーは保存されない。 衝突の際に、物体が変形したり、音が出たり、熱が発生したりして、運動エネルギーの一部が別の形のエネルギーに変わってしまうんだ。 だから、衝突後の運動エネルギーの合計は、衝突前の運動エネルギーの合計よりも小さくなる。 失われた運動エネルギー \( \Delta K = (\text{衝突前の運動エネルギーの合計}) - (\text{衝突後の運動エネルギーの合計}) > 0 \) この失われたエネルギーが、熱や音や変形エネルギーになったと考えるんだ。
平面上の衝突(斜め衝突)はどうなる?
これまでは一直線上の衝突を見てきたけど、物体が斜めにぶつかる「平面上の衝突」もある。 この場合は、運動量保存則を \( x \) 成分と \( y \) 成分に分けて考える必要がある。反発係数の式は、面に垂直な方向の速度成分に対して使うことが多い。ちょっと複雑になるけど、基本的な考え方は同じだ。これはまた次の機会にじっくりやろう!
ふぅー!今日の講義も熱かったな!「反発係数」という新しい武器を手に入れ、衝突現象をさらに深く理解できるようになったはずだ!運動量保存則と反発係数の式、この二刀流を使いこなせば、どんな衝突問題も怖くないぜ!
最後に、今日の学びを脳髄に刻み込むための、最終確認問題だ! 1. 反発係数 \( e \) が \( 0.5 \) のボールを、ある高さから床に落としたとする。ボールが床に衝突する直前の速さが \( 10 \mathrm{m/s} \) だったとしたら、床から跳ね返った直後の速さは何 \( \mathrm{m/s} \) になるかな?(床は動かないと考える) 2. 二つの粘土の塊が、空中で正面衝突してピタッとくっついちゃった! この衝突は、弾性衝突?非弾性衝突?それとも完全非弾性衝突? そのときの反発係数 \( e \) の値はいくつかな? 3. ボウリングの球がピンに当たってピンが派手に飛び散る現象。これは全体として運動エネルギーは保存されていると思う? それともされていないと思う? その理由は?
次回は、いよいよ力学のクライマックスの一つ、「円運動」と、それに関連する「単振動」という、周期的な運動の世界に足を踏み入れるぞ!メリーゴーランドや振り子、惑星の運動にもつながる、奥深いテーマだ。ますます物理の面白さが加速していくから、しっかりついてこいよな! それじゃ、また次回!今日の復習、絶対に忘れるなよ!健闘を祈る!💪