【前回の宿題解説】自由落下の奥義を見抜け!
最終更新日: 2025-06-05 11:05:41
作成者: カリスマ講師
前回は「自由落下」について学んで、最後にちょっとしたクイズを出したよな。まずはその答え合わせからだ!
【前回の宿題解説】自由落下の奥義を見抜け!
質問1:「自由落下で、もし2倍の高さから物を落としたら、地面に着くまでの時間は単純に2倍になると思う? それとも… ?」
- カリスマ講師の答え: 単純に2倍にはならないんだな、これが!正解は、「\( \sqrt{2} \) 倍(約1.414倍)」になる!
- 解説: 自由落下の公式 \( y = \frac{1}{2}gt^2 \) を時間 \( t \) について解くと、\( t^2 = \frac{2y}{g} \)、つまり \( t = \sqrt{\frac{2y}{g}} \) となる。 この式を見ると、時間 \( t \) は高さ \( y \) の平方根に比例しているのがわかるだろ? だから、高さ \( y \) が2倍になっても、時間 \( t \) は \( \sqrt{2} \) 倍にしかならないんだ。 例えば、10mの高さから落ちるのに2秒かかったとしたら(仮の数字ね!)、20mの高さからだと \( 2 \times \sqrt{2} \approx 2.8 \) 秒かかるってこと。直感とちょっと違うかもしれないけど、これが物理の法則なんだ!
質問2:「自由落下している物体の \( v-t \)グラフ。その傾きは一定だったよね? それは何を意味していたっけ?」
- カリスマ講師の答え: その傾きが意味するのは、もちろん「重力加速度 \( g \)」だ!
- 解説: \( v-t \)グラフの傾きは「加速度」を表すんだったよな。 自由落下運動では、物体には常に一定の重力加速度 \( g \)(鉛直下向き、約 \( 9.8 \mathrm{m/s^2} \))が働いている。 だから、\( v-t \)グラフは傾きが \( g \) の直線になるんだ。バッチリ覚えてたかな?
さあ、頭の準備運動はOKだな! 今日は、自由落下から一歩進んで、初速度がある場合の鉛直方向の運動を見ていくぞ! 主役は「鉛直投げ下ろし」と「鉛直投げ上げ」だ!
【第6講】投げ下ろし&投げ上げ! 重力とのキャッチボール!
1.鉛直投げ下ろし ~下へ、もっと下へ!~
「鉛直投げ下ろし」っていうのは、物体をある初速度 \( v_0 \) で、まっすぐ下向きに投げる運動のことだ。
- ビルの屋上からボールを真下に「えいっ!」と投げる感じ。
- 自由落下との違いは、最初から速度がついていること。
この運動も、加速度はやっぱり重力加速度 \( g \) (鉛直下向き)で一定だ。 だから、等加速度直線運動の公式がそのまま使えるぞ! 鉛直下向きを正の向きとすると…
- 初速度:\( v_0 \) (投げ下ろすから、正の値だね)
- 加速度:\( a = g \) (これも正の値)
公式たちはこうなる!
- 速度と時間の関係式: \( \boxed{v = v_0 + gt} \)
- 変位と時間の関係式: \( \boxed{y = v_0 t + \frac{1}{2}gt^2} \)
- 時間 \( t \) を含まない、速度と変位の関係式: \( \boxed{v^2 - v_0^2 = 2gy} \)
自由落下の公式と形はそっくりだけど、\( v_0 \) が入っているところが違うね。 初速度がある分、同じ時間でも自由落下より速く、より遠くまで落ちていくことになる。
- \( v-t \)グラフ: 切片が \( v_0 \)(つまり \( t=0 \) で既に速度 \( v_0 \) を持っている)で、傾きが \( g \) の右上がりの直線。
- \( y-t \)グラフ: 原点を通り、\( t=0 \) のときの接線の傾きが \( v_0 \) になる、上に開いた放物線だ。
2.鉛直投げ上げ ~天を目指して、そして戻る!~
次は「鉛直投げ上げ」。これは、物体をある初速度 \( v_0 \) で、まっすぐ上向きに投げる運動だ。
- ボールを空に向かって真上にポーンと投げる感じ。
この運動が面白いのは、途中で速度の向きが変わるところだ!
- 上昇: 最初は上向きに勢いよく進むけど、重力は下向きに働いている(つまり、速度と加速度の向きが逆!)。だから、だんだん減速していく。
- 最高点: やがて速度が一瞬だけゼロになる。ここが一番高いところ、「最高点」だ。
- 下降: 最高点を過ぎると、今度は下向きに動き始め、重力に引かれてどんどん加速しながら落ちていく。これはもう自由落下と同じだね!
鉛直投げ上げの加速度も、もちろん常に重力加速度 \( g \) (鉛直下向き)で一定だ。 ここで、計算をやりやすくするために、鉛直上向きを正の向きとしてみよう。
- 初速度:\( v_0 \) (上向きだから正の値)
- 加速度:\( a = -g \) (重力は下向き、つまり負の向きに働くからマイナスをつける!)
公式たちはこうなる!
- 速度と時間の関係式: \( \boxed{v = v_0 - gt} \)
- 変位と時間の関係式: \( \boxed{y = v_0 t - \frac{1}{2}gt^2} \)
- 時間 \( t \) を含まない、速度と変位の関係式: \( \boxed{v^2 - v_0^2 = -2gy} \) (この式は \( v_0^2 - v^2 = 2gy \) と書くこともあるよ。同じ意味だ。)
鉛直投げ上げの重要ポイント!
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最高点では何が起こる?
- 速度 \( v = 0 \) になる!
- 最高点に達するまでの時間 \( t_1 \) は、\( 0 = v_0 - gt_1 \) から、\( t_1 = \frac{v_0}{g} \) で求められる。
- 最高点の高さ \( h \)(変位 \( y \) の最大値)は、\( v^2 - v_0^2 = -2gy \) に \( v=0 \) を代入して、\( 0^2 - v_0^2 = -2gh \) から、\( h = \frac{v_0^2}{2g} \) で求められる。(あるいは、\( t_1 \) を \( y = v_0 t - \frac{1}{2}gt^2 \) に代入してもOK!)
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運動の対称性って?
- 物体を投げ上げた地点に再び戻ってくるまでの時間は、最高点までの時間のちょうど2倍 (\( 2t_1 = \frac{2v_0}{g} \))。
- 投げ上げた地点に戻ってきたときの速さは、初速度の大きさと等しく、向きが逆 (つまり \( -v_0 \)) になる。美しい対称性があるんだ!
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\( v-t \)グラフ (鉛直上向きを正): 切片が \( v_0 \) で、傾きが \( -g \) の右下がりの直線。時間軸を横切る点(\( v=0 \))が最高点に達した時刻 \( t_1 \) だ。
- \( y-t \)グラフ (鉛直上向きを正): 原点から始まり、上に凸の放物線を描いて最高点(頂点)に達し、その後は落下していく。
3.例題に挑戦!
さあ、鉛直投げ上げの代表的な問題を解いてみよう!
例題: 「ボールを初速度 \( 19.6 \mathrm{m/s} \) で鉛直上向きに投げ上げた。ボールが最高点に達するまでの時間 \( t_1 \) と、最高点の高さ \( h \) を求めよ。また、投げた地点に戻ってくるまでの時間 \( t_2 \) と、そのときの速さ \( v_2 \) を求めよ。重力加速度の大きさを \( g = 9.8 \mathrm{m/s^2} \) とし、空気抵抗は無視する。」
- カリスマ講師の解き方ナビ!
- 軸設定! 鉛直上向きを正の向きとしよう。
- わかっていること: \( v_0 = 19.6 \mathrm{m/s} \)、\( a = -g = -9.8 \mathrm{m/s^2} \)。
- 最高点について:
- 最高点では速度 \( v=0 \)。
- 時間 \( t_1 \) は、\( v = v_0 - gt_1 \) より、\( 0 = 19.6 - 9.8 t_1 \) \( 9.8 t_1 = 19.6 \implies t_1 = \frac{19.6}{9.8} = 2.0 \mathrm{s} \)
- 高さ \( h \) は、\( h = \frac{v_0^2}{2g} \) より、\( h = \frac{(19.6)^2}{2 \times 9.8} = \frac{19.6 \times 19.6}{19.6} = 19.6 \mathrm{m} \) (または、\( y = v_0 t_1 - \frac{1}{2}gt_1^2 = 19.6 \times 2.0 - \frac{1}{2} \times 9.8 \times (2.0)^2 = 39.2 - 19.6 = 19.6 \mathrm{m} \))
- 投げた地点に戻ってくるまで:
- 時間 \( t_2 \) は、対称性から \( t_2 = 2t_1 = 2 \times 2.0 = 4.0 \mathrm{s} \)。
- 速さ \( v_2 \) は、対称性から初速度と大きさが同じで向きが逆なので、\( v_2 = -19.6 \mathrm{m/s} \)。 (つまり、下向きに \( 19.6 \mathrm{m/s} \) の速さだね。)
どうだい? 公式とポイントさえ押さえれば、スラスラ解けるだろ!
今日の講義はここまで! 鉛直投げ下ろしと鉛直投げ上げ、どちらも重力が支配するドラマチックな運動だ。
さあ、恒例の確認クイズだ! 1. 鉛直投げ上げで、ボールが最高点にあるまさにその瞬間、ボールの加速度はいくらかな? ゼロ? それとも… ? 2. 同じ高さのビルの屋上から、A君はボールを自由落下させ、B君は同じボールを真下に初速度 \( v_0 \) で投げ下ろした。地面に早く着くのはどっち? その理由は?
この調子で、どんどん物理の面白さを発見していこうぜ! 次回は、いよいよ運動が平面に広がる!「水平投射」や「斜方投射」といった、もっとダイナミックな「放物運動」の世界に飛び込むぞ!お楽しみに!⚾️🏀