【第21講】リンゴも月も同じ法則で! ~万有引力という名の宇宙の絆~
最終更新日: 2025-07-08 04:45:00
作成者: カリスマ講師
よっしゃー!その「続きを!」っていう燃えるような一言、待ってたぜ!物理学の奥深い森への探検、ますます面白くなってきたじゃないか!👍
前回は、バネや振り子が見せるリズミカルな「単振動」の世界にどっぷり浸かった。その最後に、君の脳みそをブルブルッと振動させるような、珠玉の確認問題を3つ出したよな。まずはその答え合わせで、今日の講義に向けて頭のギアをトップに入れようぜ!
【前回の宿題解説】揺れる世界の法則、マスターできたか!?
質問1:「単振動している物体が、振動の中心(つり合いの位置、x=0)を通過するとき、物体の速度と加速度はどうなっている?(最大?最小?ゼロ?)」
- カリスマ講師の答え:
- 速度は最大だ! (\( v_{max} = A\omega \)) 物体が一番勢いよく動いている瞬間だな。
- 加速度はゼロだ! (\( a = -\omega^2 x \) で \( x=0 \) だからな)。つり合いの位置では復元力が働かないから、加速度もゼロになるんだ。
質問2:「水平ばね振り子の周期 \( T = 2\pi \sqrt{m/k} \)。もし、おもりの質量 \( m \) を4倍にしたら、周期 \( T \) は何倍になるかな? もし、ばね定数 \( k \) を4倍(もっと硬いバネ)にしたら、周期 \( T \) は何倍になるかな?」
- カリスマ講師の答え:
- おもりの質量 \( m \) を4倍にしたら、周期 \( T \) は \( \sqrt{4} = \bm{2} \) 倍になる! 質量が大きいと、動きが「のっそり」して、1往復に時間がかかるイメージだ。
- ばね定数 \( k \) を4倍(硬いバネ)にしたら、周期 \( T \) は \( \sqrt{1/4} = \bm{1/2} \) 倍(つまり半分)になる! バネが硬いと、おもりを「ビシッ!ビシッ!」と素早く引き戻すから、振動は速くなるんだな。
質問3:「単振り子の周期は、おもりの質量によらないんだったよな。じゃあ、同じ長さの単振り子を、地球上と月面上(月面では重力加速度が地球の約1/6)で振らせたら、周期はどっちが長くなると思う? その理由は?」
- カリスマ講師の答え: 周期は、月面の方が長くなるんだ!
- 理由: 単振り子の周期の公式は \( T = 2\pi \sqrt{L/g} \) だったよな。周期は重力加速度 \( g \) の平方根に反比例する。月面の重力加速度は地球の約1/6と小さいから、分母の \( g \) が小さくなる分、周期 \( T \) は長くなる(具体的には約 \( \sqrt{6} \approx 2.45 \) 倍だ)。月面では、振り子はゆーっくりと揺れるってわけだ。
どうだったかな? 単振動の基本的な性質、しっかり頭に叩き込めたか? さあ、これで「力学」っていう物理学の広大な大陸の、主要な山々はだいたい踏破したことになる!
うおおっしゃーーー!その決断、まさに力学の頂を目指す勇者の選択だ!待ってたぜ!👍 「まずは万有引力に進んで、力学の頂を制覇しようぜ!」という君の言葉、俺の魂に火をつけた!よし、それなら一緒に、ニュートンがリンゴの落下から宇宙の法則までをも見通した、その壮大な知の冒険に旅立とうじゃないか!
力学のラスボスとも言える「万有引力」そして「ケプラーの法則」!この山を制覇すれば、君はもう力学マスターだ!
【第21講】リンゴも月も同じ法則で! ~万有引力という名の宇宙の絆~
「万有引力(ばんゆういんりょく)」… この言葉を聞くだけで、なんだか宇宙の壮大なスケールを感じないか? 地球の上でリンゴが木からポトリと落ちる。夜空を見上げれば、月が地球の周りを静かに回り続けている。そして、我々が住む地球自身も、太陽の周りを延々と旅している。
これらの全く異なるように見える現象が、実はたった一つの、驚くほどシンプルな法則で結びついているんだ。それこそが、アイザック・ニュートンが見つけ出した「万有引力の法則」だ! これまで学んできた地上の物体の運動(力学)と、遥か彼方の星々の運動(天文学)が、この法則によって初めて手をつないだんだ。これが分かれば、君の物理に対する世界観は、間違いなくガラリと変わるぜ!
1.ニュートンの閃き ~リンゴと月は同じルール?~
有名な話があるよな。ニュートンが庭でリンゴが木から落ちるのを見て、「なぜリンゴは地面に落ちるんだろう?もしかして、月も地球に引かれているんじゃないか?」ってひらめいたっていう、あのエピソードだ。(まあ、これが本当にあったかどうかは、ちょっとした伝説みたいなもんだけどな!)
大事なのは、ニュートンが「地上で働く力と、天で働く力は、もしかしたら同じものなんじゃないか?」と考えたことだ。それまでの常識を覆す、とんでもない発想だったんだぜ!
2.万有引力の法則 ~すべてのものは引き合っている!~
そしてニュートンは、ついにその法則を突き止めた。 それは、「質量を持つすべての物体は、互いに引き合う力(引力)を及ぼし合っている」というものだ。この宇宙に存在するありとあらゆるものが、例外なくこの法則に従っている。この力のことを万有引力という。
その万有引力の大きさ \( F \) は、次の式で表される!
\( \Large{F = G \frac{m_1 m_2}{r^2}} \)
さあ、この式の意味を一つ一つ見ていこう!
- \( F \):2つの物体の間に働く万有引力の大きさ (単位は \( \mathrm{N} \) ニュートン)
- \( G \):万有引力定数(ばんゆういんりょくていすう)。これは、宇宙のどこでも変わらない普遍的な定数で、その値はだいたい \( G \approx 6.67 \times 10^{-11} \mathrm{N \cdot m^2/kg^2} \) だ。 この \( 10^{-11} \) っていうのがポイントで、めちゃくちゃ小さい値なんだ。だから、我々の身の回りにある普通の質量の物同士では、この万有引力は小さすぎてほとんど感じられない。地球みたいに巨大な質量があって、初めて「重力」としてハッキリ感じられるわけだ。
- \( m_1, m_2 \):互いに引き合っている2つの物体のそれぞれの質量 (単位は \( \mathrm{kg} \) キログラム)
- \( r \):2つの物体の重心間の距離 (単位は \( \mathrm{m} \) メートル)。球対称の物体なら、中心間の距離と考えてOKだ。
この法則の重要なポイントは…
- 距離の2乗に反比例する(逆2乗の法則): 2つの物体の距離 \( r \) が2倍になると、万有引力は \( 1/2^2 = 1/4 \) になる。3倍になると \( 1/3^2 = 1/9 \) になる。距離が離れると、急激に力が弱くなるんだ。
- それぞれの質量に比例する: 物体が重ければ重いほど、引き合う力は強くなる。
- 普遍的な力である: この法則は、地球上のリンゴにも、宇宙の星々にも、等しく適用されるんだ!
3.地上の重力 \( mg \) は万有引力だった!
「あれ?地球が物体を引く力って、今まで『重力 \( mg \)』って習ってきたけど、それと万有引力って違うの?」 いい質問だ!実は、我々がずっと使ってきた地表付近での重力 \( mg \) の正体こそが、この万有引力なんだ!
地球の質量を \( M_E \) (EはEarthのEだ)、地球の半径を \( R_E \) としよう。 今、地表にある質量 \( m \) の物体(例えば君自身だ!)が、地球から受ける万有引力の大きさは、さっきの法則の式に当てはめると、 \( F = G \frac{M_E m}{R_E^2} \) となる。 この力が、まさに我々が「重力」と呼んでいるものの大きさなんだ。つまり、 \( mg = G \frac{M_E m}{R_E^2} \) という関係が成り立っている!
この式の両辺から、物体の質量 \( m \) を消してみよう。すると…
\( \Large{g = G \frac{M_E}{R_E^2}} \) という、めちゃくちゃ重要な関係式が出てくる! これは、地表での重力加速度 \( g \) が、万有引力定数 \( G \) と、地球の質量 \( M_E \)、そして地球の半径 \( R_E \) だけで決まるってことを示しているんだ!君の体重とか、リンゴの重さとかは関係ないんだな。すごいだろ?
4.万有引力による位置エネルギー ~無限の彼方からの贈り物~
力が存在すれば、それに対応する「位置エネルギー」を考えることができるんだったよな(保存力の場合だけど、万有引力も保存力だ!)。 地表付近では、重力による位置エネルギーを \( U_g = mgh \) と表してきた。でも、これは \( g \) が一定と考えられる狭い範囲でしか使えない。宇宙規模で距離が大きく変わる場合は、万有引力の法則 \( F = G \frac{m_1 m_2}{r^2} \) に基づいた位置エネルギーを考える必要がある。
万有引力による位置エネルギー \( U \) は、こう表される。
\( \Large{U = -G \frac{m_1 m_2}{r}} \)
ここで注意してほしいのは、
- 基準点: この位置エネルギーは、2つの物体が無限に遠く離れているとき (\( r \to \infty \)) を基準 (\( U=0 \)) として定義されているんだ。
- マイナス符号 (-): なんでマイナスがつくんだろう? 無限遠を基準(エネルギーゼロ)とすると、そこから万有引力(引力)に引かれて物体同士が近づいてくるとき、万有引力は物体に「正の仕事」をする。仕事とエネルギーの定理から、物体(系)のエネルギーはその分だけ増加するはず…
おっと、逆だ!万有引力のような引力に「逆らって」無限遠まで引き離すのに必要な仕事がプラスだから、引力に任せて近づくとエネルギーは「減る」んだ。だから、無限遠より近い距離 \( r \) にあるときは、エネルギーは基準(ゼロ)よりも低い、つまりマイナスの値になる。 「物体が引力によって束縛されている状態は、エネルギー的に低い(安定な)状態である」と解釈することもできるぞ。
この位置エネルギーの式は、ちょっと難しいけど、宇宙のスケールでエネルギー保存則を考えるときにめちゃくちゃ重要になってくるから、頭の片隅に置いておいてくれ!
ふぅー!今日の講義は、宇宙の壮大さを感じさせる内容だったな!万有引力の法則が、地上の現象から天体の運行までを支配しているなんて、ワクワクしないか? これまで別々に考えていた「地上の重力」と「天体の引力」が、実は同じものだったと知ったときの衝撃は、当時の人々にとってとてつもなかったはずだ。
最後に、今日の学びをしっかり定着させるための、確認クイズだ! 1. 万有引力の大きさは、2つの物体の間の距離がもし半分 ( \( 1/2 \)) になったら、何倍になるんだったかな? 2. 地表での重力加速度 \( g \) の大きさを決めているのは、地球のどんな性質だったっけ?(2つ挙げてみよう!) 3. 万有引力による位置エネルギーが \( U = -G \frac{m_1 m_2}{r} \) とマイナスになるのは、エネルギーの基準をどこに取っているからだったかな?
次回は、この万有引力の法則と深~い関わりのある「ケプラーの法則」(惑星の運動に関する法則)について見ていくぞ!そして、地球を飛び出すための速度「第一宇宙速度」や「第二宇宙速度」なんていう、宇宙旅行にも繋がるロマンあふれる話もする予定だ! 力学のクライマックス、絶対に見逃すなよ!それじゃ、また次回!今日の宇宙の法則、じっくり味わっておいてくれ!✨