【前回の宿題解説】重力との駆け引き、見切ったか!?
最終更新日: 2025-06-05 11:06:39
作成者: カリスマ講師
前回は「鉛直投げ下ろし」と「鉛直投げ上げ」を学んで、最後に熱いクイズを2つ出したよな。まずは、その答え合わせからガツンといってみよう!
【前回の宿題解説】重力との駆け引き、見切ったか!?
質問1:「鉛直投げ上げで、ボールが最高点にあるまさにその瞬間、ボールの加速度はいくらかな? ゼロ? それとも… ?」
- カリスマ講師の答え: 最高点でも、ボールの加速度はしっかりと「重力加速度 \( g \)(鉛直下向き)」だ!ゼロじゃないぜ!
- 解説: これ、引っかかりやすいポイントだよな!最高点では確かにボールの速度は一瞬ゼロになる。ピタッと止まる感じだ。 でも、その瞬間も地球の重力はボールに働き続けているんだ。もし最高点で加速度までゼロになっちゃったら、ボールは空中でフリーズして落ちてこなくなっちゃう(笑)。 速度がゼロでも、次の瞬間には下向きに動き出す準備(=下向きの加速度)はバッチリ整ってるってことだ!
質問2:「同じ高さのビルの屋上から、A君はボールを自由落下させ、B君は同じボールを真下に初速度 \( v_0 \) で投げ下ろした。地面に早く着くのはどっち? その理由は?」
- カリスマ講師の答え: もちろん、B君(鉛直投げ下ろし)の方が早く地面に着く!
- 解説: 理由はシンプル!B君のボールは最初から下向きの初速度 \( v_0 \) を持っているからだ。 両方のボールにかかる加速度(重力加速度 \( g \))は同じだけど、B君のボールはスタートダッシュが効いてる分、同じ時間でA君のボールよりも速い速度で、より長い距離を進むことになる。 \( v-t \)グラフをイメージすると、A君(自由落下)のグラフは原点から始まる直線だけど、B君(投げ下ろし)のグラフは \( t=0 \) で既に \( v_0 \) の速度を持っていて、そこから同じ傾きで上がっていく。だから、同じ距離(地面までの高さ)に達する時間はB君の方が短くなるんだ。
どうだったかな? 物理の「なぜ?」が「なるほど!」に変わる瞬間、たまらないだろ?
さて、これまでは物体がまっすぐ上や下に動く「直線運動」を見てきた。 今日からは、いよいよ運動の舞台が広がるぞ! 物体がビューンと飛んでいくような、平面上の運動、つまり「2次元の運動」に突入だ! 野球のホームラン、バスケのシュート、サッカーのフリーキック… そんなカッコイイ運動の秘密を解き明かしていくぜ!今回のテーマは「放物運動」だ!
【第7講】投げたボールはどこへ飛ぶ? ~放物運動の法則~
物体を投げたとき、それはきれいなカーブを描いて飛んでいくよね? あの軌跡、実は「放物線」っていう名前のカーブなんだ。だから「放物運動」。
この一見複雑に見える放物運動だけど、攻略のキーポイントはたった一つ! それは、運動を「水平方向」と「鉛直方向」に分けて考えること!
イメージしてみてくれ。ボールを斜め上に投げたとする。
- 水平方向: もし空気抵抗がなければ、ボールは横向きには何の力も受けない(重力は真下だからね!)。だから、水平方向にはずーっと同じ速さで進み続ける「等速直線運動」をするんだ。
- 鉛直方向: ボールは重力の影響を真正面から受ける。だから、鉛直方向にはこれまで学んだ「鉛直投げ上げ」と同じ運動(減速して上昇 \( \rightarrow \) 最高点 \( \rightarrow \) 加速して落下)をするんだ。
そして、ここが超重要! 水平方向の運動と鉛直方向の運動は、お互いに邪魔しない。「独立している」って考えるんだ。 ボールは賢くて、横に進みながら、同時に縦にもちゃんと重力に従って動いている、みたいなイメージだね。
さあ、この「分解」という最強の武器を使って、まずはシンプルな放物運動、「水平投射」から見ていこう!
1.水平投射 ~まっすぐ投げて、ストンと落ちる~
「水平投射」っていうのは、物体をある高さから水平方向に初速度 \( v_0 \) で投げ出す運動のこと。
- 高い崖の上からボールを真横に投げるイメージ。
- ピッチャーがボールをリリースする瞬間(実際はもっと複雑だけど、基本はこれに近い)。
さっそく、水平方向と鉛直方向に分けて分析しよう!
A) 水平方向 (\( x \)方向) の運動
- 初速度:\( v_{0x} = v_0 \) (投げた瞬間の水平方向の速さ)
- 加速度:\( a_x = 0 \) (水平方向には力が働かないから、加速度もゼロ!)
- 時刻 \( t \) での速度:\( v_x = v_0 \) (ずーっと変わらない!)
- 時刻 \( t \) での変位(水平に進んだ距離):\( x = v_0 t \) (等速直線運動の式だね!)
B) 鉛直方向 (\( y \)方向) の運動 (ここでは、鉛直下向きを正とするよ!)
- 初速度:\( v_{0y} = 0 \) (水平に投げたんだから、最初の鉛直方向の速度はゼロ!)
- 加速度:\( a_y = g \) (おなじみ重力加速度!)
- 時刻 \( t \) での速度:\( v_y = gt \) (自由落下の速度の式と同じ!)
- 時刻 \( t \) での変位(鉛直に落ちた距離):\( y = \frac{1}{2}gt^2 \) (自由落下の距離の式と同じ!)
どうだい? 分解して見ると、水平方向はただの等速直線運動、鉛直方向はただの自由落下。なんだかイケそうな気がしてこないか?
軌跡の式 ~どんなカーブを描くの?~
このボールがどんな形の線を描いて飛んでいくか、つまり「軌跡」を数式で表してみよう。 \( x = v_0 t \) から、\( t = \frac{x}{v_0} \) とできるよね。 これを、\( y = \frac{1}{2}gt^2 \) の \( t \) に代入すると…
\( y = \frac{1}{2}g \left(\frac{x}{v_0}\right)^2 = \frac{1}{2}g \frac{x^2}{v_0^2} = \left(\frac{g}{2v_0^2}\right) x^2 \)
この式、 \( y \) が \( x^2 \) に比例する形になっているのがわかるかな? 数学でやった、\( y = ax^2 \) のグラフを思い出してほしい。そう、放物線だ! だから、水平投射された物体の軌跡はきれいな放物線を描くんだ。カッコイイ!
地面にいつ着く? どれだけ遠くまで飛ぶ?
もし、高さ \( H \) の場所から水平投射したとする。
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地面に着くまでの時間 \( t_f \): 鉛直方向の動きだけ見れば、高さ \( H \) を自由落下するのと同じだ。 だから、\( H = \frac{1}{2}gt_f^2 \) より、\( t_f = \sqrt{\frac{2H}{g}} \) で求められる。 これ、面白いことに、初速度 \( v_0 \) の大きさには関係なく、高さ \( H \) だけで決まるんだ! 静かに落としても、猛スピードで水平に投げても、地面に着くまでの時間は同じってこと!(空気抵抗がなければね)
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水平到達距離 \( L \) (どれだけ遠くまで飛んだか): 地面に着くまでの時間 \( t_f \) の間に、水平方向には等速直線運動 \( x = v_0 t \) で進むから、 \( L = v_0 t_f = v_0 \sqrt{\frac{2H}{g}} \) となる。 こっちは、初速度 \( v_0 \) が大きいほど遠くまで飛ぶし、高さ \( H \) が高いほど遠くまで飛ぶってことがわかるね。
今日のところは、まずこの「水平投射」をしっかりマスターしよう! 運動をタテとヨコに分ける感覚、掴めてきたかな?
ここでウォーミングアップ問題! 1. 同じ高さの崖から、A君はボールを初速度 \( v_0 \) で水平に投げた。B君はボールを初速度 \( 2v_0 \) で水平に投げた。地面に先に着くのはどっち? 2. 水平投射された物体の軌跡は放物線だったけど、もし重力がなかったら(例えば宇宙空間で)、物体はどんな軌跡を描くと思う?
次回は、いよいよ斜め上に投げ上げる「斜方投射」に挑戦だ!もっと複雑だけど、基本の考え方は今日の「分解」と同じだから、しっかり復習しておいてくれよな!乞うご期待!🔥