イオン結合のしくみとその性質
最終更新日: 2025-03-12 12:16:33
作成者: 塾長である
第2章 化学結合
2-1 イオン結合とその化合物
1. 化学結合とは?
講師:
「みなさん、今日は物質がどのようにしてできているのか、その基本となる“化学結合”について学びましょう!」
1-1. 化学結合の定義
- 物質は、原子やイオンなどの粒子が結びついてできている。
- この結びつきのことを 「化学結合」 という。
? ポイント:
化学結合がなければ、私たちの身の回りのあらゆる物質は存在できません!
2. 化学結合の種類
2-1. 主な化学結合の種類
化学結合は、結びつく粒子の種類や電子のやり取りの方法によって、大きく3つに分けられます。
- イオン結合 → 陽イオンと陰イオンが引き合ってできる結合(例: 塩化ナトリウム NaCl)
- 共有結合 → 非金属原子どうしが電子を共有してできる結合(例: 水 H₂O)
- 金属結合 → 金属原子どうしが電子を共有してできる結合(例: 鉄 Fe)
? ポイント:
「原子がどうやってつながるか?」によって、物質の性質が変わります!
3. イオン結合とは?
3-1. イオン結合のしくみ
塩化ナトリウム(NaCl)の場合を見てみましょう!
- ナトリウム(Na)は、電子を 1個 失い、陽イオン(Na⁺) になる。
Na → Na⁺ + e⁻ - 塩素(Cl)は、その電子を 1個 受け取って、陰イオン(Cl⁻) になる。
Cl + e⁻ → Cl⁻ - Na⁺(陽イオン) と Cl⁻(陰イオン) が、電気的な引力(クーロン力) によって結びつく。
このように、陽イオンと陰イオンが電気的な力で結びつくのが「イオン結合」です。
4. イオン結合からできる化合物
イオン結合を持つ代表的な化合物
イオンの種類 | 例 |
---|---|
1価の陽イオン + 1価の陰イオン | NaCl, KCl |
2価の陽イオン + 1価の陰イオン | CaCl₂, Mg(NO₃)₂ |
1価の陽イオン + 2価の陰イオン | Na₂O, K₂SO₄ |
その他の組み合わせ | Al₂(SO₄)₃, Na₃PO₄ |
5. イオン結晶の性質
5-1. イオン結晶とは?
イオン結晶 = 陽イオンと陰イオンが 規則正しく配列した結晶
例: 塩化ナトリウム(NaCl) の結晶
- Na⁺とCl⁻が 交互に規則正しく 並んでいる。
- 強いクーロン力 によって、結晶がしっかりと安定している。
5-2. イオン結晶の特徴
- 融点・沸点が高い → 強い結合のため、高温でも壊れにくい。
- 硬いが、もろい → 強い力を加えると、イオンの並びが崩れて割れる。
- 電気を通さない(固体) → イオンは固定されているため、自由に動けない。
- 電気を通す(液体・水溶液) → 加熱で融解したり水に溶かすと、イオンが自由に動けるようになる。
実験:「融解塩の電気伝導性を調べる」
- 塩化ナトリウム(NaCl)の固体 → 電気を通さない
- 溶かしたNaCl(液体) → 電気を通す
- NaClの水溶液 → 電気を通す
6. イオン結合の強さ
? イオン結合の強さは何で決まる?
- 陽イオンと陰イオンの価数
- 価数が大きいほど、引き合う力(クーロン力)が強い → 融点が高い!
- 例: MgO(2価 × 2価)は、NaCl(1価 × 1価)より強く結合する。
- イオン半径の大きさ
- イオンが小さいほど、イオン同士の距離が近くなり、引き合う力が強くなる。
物質 | 融点(℃) | 沸点(℃) |
---|---|---|
NaCl | 801 | 1413 |
MgO | 2826 | 3600 |
7. まとめ:イオン結合のポイント!
✅ イオン結合とは?
- 陽イオンと陰イオンが電気的な引力で結びつく結合。
- 例:Na⁺ + Cl⁻ → NaCl
✅ イオン結晶とは?
- 陽イオンと陰イオンが規則正しく並んだ結晶。
✅ イオン結晶の性質
- 固体では電気を通さないが、水や液体では電気を通す。
- 融点・沸点が高い。
- 硬いがもろい。
✅ イオン結合の強さ
- 価数が大きいほど強い(MgO > NaCl)。
- イオンが小さいほど強い(小さいほど引き合う力が強くなる)。
? 今日の復習クイズ!
- イオン結合が起こる理由は?
- A) 陽イオンと陰イオンが反発し合うから
- B) 陽イオンと陰イオンが電気的に引き合うから
- C) すべての原子が電子を放出するから
- 塩化ナトリウム(NaCl)はなぜ水に溶けやすい?
- A) 水の分子がイオンを取り囲むから
- B) イオン結晶が壊れにくいから
- C) ナトリウムイオンは水と反応しないから
講師のひとこと!
「イオン結合は、物質の性質を決める重要な要素です!次回は、共有結合について詳しく見ていきます。お疲れさまでした!」 ?