イオンのなりたち
最終更新日: 2025-03-12 12:10:13
作成者: 塾長である
1-3 イオンのなりたち
1. イオンとは何か?
みなさん、まず「原子」について復習しましょう。
原子は、陽子(+の電荷)、電子(-の電荷)、中性子(電荷なし)で構成され、通常は電気的に中性です。しかし、電子を失ったり得たりすると「イオン」となります。
- 陽イオン:電子を失い、正(+)の電荷を持つ
- 陰イオン:電子を得て、負(−)の電荷を持つ
2. 陽イオンの形成
例えば ナトリウム(Na) の原子番号は 11 です。
電子の配置を見てみましょう。
殻 | K | L | M |
---|---|---|---|
Na | 2 | 8 | 1 |
M殻に1個だけある電子(価電子)がポイントです。この電子を失うと、ネオン(Ne)と同じ電子配置になり、安定します。
- ナトリウムの変化
Na → Na⁺ + e⁻
すると、陽子は11個のままですが、電子は10個になり、+1の電荷を持つ「ナトリウムイオン(Na⁺)」 になります。
3. 陰イオンの形成
次に 塩素(Cl) を見てみましょう。原子番号は 17 です。
殻 | K | L | M |
---|---|---|---|
Cl | 2 | 8 | 7 |
M殻には7個の電子があります。ここに あと1個電子を受け取る と、アルゴン(Ar)と同じ電子配置になり、安定します。
- 塩素の変化
Cl + e⁻ → Cl⁻
陽子は17個のままですが、電子が18個になり、-1の電荷を持つ「塩化物イオン(Cl⁻)」 になります。
4. イオンの価数と電子の数
イオンが持つ電荷の大きさを 「価数」 といいます。
価電子の数によって、どのようなイオンになりやすいか決まります。
陽イオンになりやすい原子
- 価電子1個(1価の陽イオン):Na⁺, K⁺
- 価電子2個(2価の陽イオン):Mg²⁺, Ca²⁺
- 価電子3個(3価の陽イオン):Al³⁺
陰イオンになりやすい原子
- 価電子7個(1価の陰イオン):Cl⁻, F⁻, Br⁻
- 価電子6個(2価の陰イオン):O²⁻, S²⁻
イオンの電子数の計算
- 陽イオンの電子数 = 原子番号 - イオンの価数
- 陰イオンの電子数 = 原子番号 + イオンの価数
例えば、マグネシウム(Mg, 原子番号12) が Mg²⁺ になる場合:
- 電子数 = 12 - 2 = 10(ネオンと同じ電子配置)
5. イオン化エネルギーと電子親和力
(1) イオン化エネルギー
原子が電子を1個失い、陽イオンになるために必要なエネルギーです。
イオン化エネルギーが小さい原子ほど 陽イオンになりやすい です。
- 例: Na, K → 1価の陽イオンになりやすい
- 傾向: 希ガス(He, Ne, Ar)はイオン化エネルギーが高く、陽イオンになりにくい
(2) 電子親和力
原子が電子を1個受け取って陰イオンになるときに放出されるエネルギーです。
電子親和力が大きいほど 陰イオンになりやすい です。
- 例: F, Cl, Br は電子親和力が大きく、陰イオンになりやすい。
6. イオンの大きさ
(1) 陽イオンの大きさ
- 陽イオン(例: Na⁺, Mg²⁺)は、もとの原子より小さい
→ 電子を失うことで、電子間の反発が減り、原子核に引き寄せられる
(2) 陰イオンの大きさ
- 陰イオン(例: Cl⁻, O²⁻)は、もとの原子より大きい
→ 電子を受け取ることで、電子間の反発が増え、膨らむ
7. まとめ
✅ イオンとは? 原子が電子を失ったり得たりして電荷を持ったもの
✅ 陽イオンは電子を失い、陰イオンは電子を得る
✅ イオンの価数は価電子の数に関係する
✅ イオン化エネルギーが低い原子は陽イオンになりやすい
✅ 電子親和力が大きい原子は陰イオンになりやすい
✅ 陽イオンは小さく、陰イオンは大きくなる
これで「イオンのなりたち」の講義は終わりです!
質問があればどうぞ! 😊