同位体の存在比と電子配置
最終更新日: 2025-03-12 12:25:13
作成者: 塾長である
1. 同位体の存在比
1-1. 同位体とは?
**同位体(アイソトープ)**とは、同じ元素でありながら、中性子の数が異なる原子のことを指します。
つまり、陽子の数(=原子番号)は同じだけど、質量が違う原子ですね。
🔹 例:酸素の同位体
酸素には次の3種類の同位体が存在します。
同位体 | 質量数 | 存在比 (%) |
---|---|---|
$$16O^{16}O16O$$ | 16 | 99.757 |
17O^{17}O17O | 17 | 0.038 |
18O^{18}O18O | 18 | 0.205 |
このように、自然界に存在する同位体の割合(存在比)は一定です。
空気中の酸素も、生物の中の酸素も、岩石の中の酸素も、同じ割合で含まれています。
1-2. 他の元素の同位体
例えば、炭素や水素にも同位体が存在します。
元素 | 同位体 | 質量数 | 存在比 (%) |
---|---|---|---|
水素 | 1H^{1}H1H(普通の水素) | 1 | 99.9885 |
水素 | 2H^{2}H2H(重水素) | 2 | 0.0115 |
炭素 | 12C^{12}C12C | 12 | 98.93 |
炭素 | 13C^{13}C13C | 13 | 1.07 |
🔍 ポイント!
- 同位体は、原子番号が同じで質量数が異なる。
- 自然界における同位体の存在比はほぼ一定。
2. 放射線と放射性同位体
2-1. 放射線とは?
放射線には3種類あり、それぞれ異なる性質を持っています。
放射線 | 正体 | 特徴 |
---|---|---|
α(アルファ)線 | ヘリウム原子核(4He2+^4He^{2+}4He2+) | 比較的重く、紙1枚で遮断可能 |
β(ベータ)線 | 高エネルギーの電子(e⁻) | 軽く、アルミニウム板で遮断可能 |
γ(ガンマ)線 | 高エネルギーの電磁波 | 透過力が高く、鉛の板で遮断可能 |
2-2. 放射性同位体と崩壊
放射線を出す同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)と呼びます。
放射性同位体は時間が経つと別の原子に変化します。これを原子の崩壊といいます。
🔹 α崩壊
α崩壊では、ヘリウム原子核(4He^4He4He)を放出することで、
- 原子番号が2減少
- 質量数が4減少 します。
📌 例:
88226Ra^{226}_{88}Ra88226Ra → 86222Rn^{222}_{86}Rn86222Rn + 24He^4_2He24He(α線)
🔹 β崩壊
β崩壊では、電子(β線)を放出することで、
- 原子番号が1増加
- 質量数は変化しない という特徴があります。
📌 例:
614C^{14}_{6}C614C → 714N^{14}_{7}N714N + e⁻(β線)
この現象を利用して、炭素14(14C^{14}C14C)の年代測定が行われます。
古代の遺跡や化石の年代を調べるのに使われる方法ですね。
3. 電子殻と電子配置
3-1. 電子殻とは?
原子の電子は、決められた軌道(=電子殻)に分かれて存在しています。
電子殻は内側から順に**K殻、L殻、M殻…**と名前がついています。
📌 電子殻に入る最大電子数は、以下の式で求められます。
最大収容電子数=2n2最大収容電子数 = 2n^2最大収容電子数=2n2
(nは電子殻の番号)
電子殻 | 記号 | 最大電子数 |
---|---|---|
1番目(内側) | K殻(n=1) | 2 |
2番目 | L殻(n=2) | 8 |
3番目 | M殻(n=3) | 18 |
4番目 | N殻(n=4) | 32 |
3-2. 電子配置
電子は、エネルギーの低いK殻から順に詰まっていきます。
📌 例:ナトリウム(Na, 原子番号11)の電子配置
- K殻:2個
- L殻:8個
- M殻:1個
最も外側の電子殻にある電子(= 価電子)が、化学反応に関係する電子です。
4. 希ガスと周期表
4-1. 希ガスとは?
ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などの希ガスは、
化学反応をほとんど起こさないことで知られています。
🔍 理由:希ガスの電子配置はすでに安定しているから!
このように安定した電子配置を「閉殻」といいます。
4-2. 周期表と価電子
周期表は、価電子の数が周期的に変化することに基づいて作られています。
これを元素の周期律といいます。
族(縦の列) | 価電子の数 | 代表的な元素 |
---|---|---|
1族(アルカリ金属) | 1 | H, Li, Na, K |
2族(アルカリ土類金属) | 2 | Be, Mg, Ca |
17族(ハロゲン) | 7 | F, Cl, Br |
18族(希ガス) | 0 | He, Ne, Ar |
⚡ 周期表のポイント!
- 同じ族の元素は似た性質を持つ!
- 希ガスは価電子が0だから化学反応を起こしにくい!
まとめ
✔ 同位体は、同じ元素で質量数が異なる原子(例:酸素の同位体)
✔ 放射性同位体は放射線を出して崩壊する(例:14C^{14}C14C → 14N^{14}N14N)
✔ 電子は電子殻に配置され、価電子が化学反応を決める
✔ 希ガスの電子配置は安定していて、化学反応を起こしにくい
✔ 周期表は価電子の数に基づいて並んでいる(=元素の周期律)
こんな感じでどうかな?質問があれば何でも聞いてね! 😊