高校化学の基礎

【7章】元素の地図「周期表」をマスターしよう

最終更新日: 2026-01-14 10:49:39

作成者: カリスマ講師

ここから「無機物質」の学習に入ります。無機化学は「暗記が多い」と思われがちですが、実は**「周期表」という地図の読み方**さえわかれば、元素の性質を丸暗記せずに予測できるようになります。

まずは、この地図がどうやってできたのか、そしてどう読むのかを整理しましょう。

1. 周期表はこうして生まれた(歴史)

バラバラに見える元素に「ある法則」があることを発見した科学者たちの歴史が描かれています。

メンデレーエフの発見

昔の科学者たちは、似た性質の元素があることには気づいていましたが、それをうまく整理できませんでした。

そこで登場したのが、ロシアのメンデレーエフ(1869年)です。

現在の周期表との違い

メンデレーエフは偉大でしたが、実は少しだけ例外がありました。その後、研究が進み、現在の周期表は以下のように改良されています。

ここがポイント!

「原子番号順」に並べることで、化学的な性質のズレがなくなり、現在の完璧な表が完成しました。

2. 「周期律」ってどういうこと?

「性質が周期的に現れる」と言われてもピンとこないかもしれません。グラフ(図2)を見てみましょう。

3. 周期表の読み方(族と周期)

周期表(図3)は、ただの表ではありません。**「縦」と「横」**に深い意味があります。

①「族(ぞく)」= 縦の列

②「周期(しゅうき)」= 横の行

③ 特別に名前がついている「家族」

同族元素の中でも、特にキャラが濃い(特徴的な)グループには名前がついています。これは必ず覚えましょう。

グループ名特徴のイメージ該当元素の例
1族アルカリ金属水と激しく反応する暴れん坊(Hは除く)Li, Na, K...
2族アルカリ土類金属アルカリ金属に次いで元気(Be, Mgは除く)Ca, Sr, Ba...
17族ハロゲン毒性があり、反応性が高いF, Cl, Br, I...
18族希ガス全く反応しない、平和主義者(安定している)He, Ne, Ar...

4. 元素の2つの分類方法

周期表の元素は、性質によって大きく2通りの分け方ができます。

分類A:並び方のルールで分ける

電子の増え方や性質の変化の仕方による分類です。

  1. 典型元素(てんけいげんそ)
  1. 遷移元素(せんいげんそ)

分類B:電気や熱を通すかで分ける

  1. 金属元素
  1. 非金属元素

注意!「両性元素」

金属と非金属の境界線あたり(Al, Zn, Sn, Pbなど)には、どちらの性質も併せ持つ「両性元素」が存在します。これらは酸とも塩基とも反応するコウモリのような存在です。

ここまでのまとめ(第1部の復習)

  1. 周期表は原子番号順に並んでいる。
  2. **縦の列(族)**が同じなら、性質が似ている(同族元素)。
  3. **横の行(周期)**は電子の殻の数を表す。
  4. 元素は典型/遷移金属/非金属というグループ分けができる。

 

 

性質が決まる理由と「第3周期」のドラマ

1. なぜ「同族元素」は性質が似ているのか?(p.221)

「族(縦の列)が同じなら性質が似ている」というお話をしましたが、その理由は**原子の中身(電子の並び方)**を見ると一発でわかります。

カギは「価電子(かでんし)」の数

原子は、中心の原子核の周りを「電子」が回っている構造をしています。電子は内側の殻(K殻、L殻…)から順に入っていきますが、化学反応において一番重要なのは、**「一番外側の殻にある電子(最外殻電子)」です。

これを「価電子(かでんし)」**と呼びます。

結論:

化学反応とは、この一番外側の電子をあげたりもらったりすることです。

「一番外側の電子の数(価電子数)」が同じだから、反応の仕方がそっくりになるのです。

2. 第3周期の元素で見る「性質の移り変わり」(p.221〜222)

ここが今回のハイライトです。周期表の横の列、特に**「第3周期(Na, Mg, Al, Si, P, S, Cl)」**を左から右へ見ていくと、性質がグラデーションのようにきれいに変化します。

教科書の表2(p.222)は非常に重要なので、その中身をわかりやすく翻訳します。

① 「金属」から「非金属」への変化

左側はゴリゴリの金属ですが、右へ行くほど金属らしさが消えていきます。

② 水との反応性(元気の良さ)

左の金属ほど「電子を捨てたい!」という欲求が強く、水と激しく反応します。

③ 酸化物・水酸化物の性質(酸性・塩基性)

ここがテスト頻出ポイントです。「その元素の酸化物(酸素とくっついたもの)」が、酸性か塩基性かには明確なルールがあります。

絶対覚えるルール

このルールを第3周期に当てはめてみましょう。

元素NaMgAlSiPSCl
分類金属金属両性非金属非金属非金属非金属
酸化物の性質

強塩基性

 

(Na₂O)

塩基性

 

(MgO)

両性

 

(Al₂O₃)

弱酸性

 

(SiO₂)

酸性

 

(P₄O₁₀)

強酸性

 

(SO₃)

強酸性

 

(Cl₂O₇)

3. 遷移元素ってなに?(p.222下)

最後に、周期表の真ん中にある「遷移元素(3〜11族)」について少しだけ触れています。

全体のまとめ

教科書p.222の「まとめ」ボックスの内容を、さらに噛み砕いて整理します。

  1. 周期律の基本: 元素を原子番号順に並べると、性質が周期的に変化する。
  2. 分類:
  1. 第3周期のトレンド(左から右へ):

水素と希ガス

ここでは、周期表の「一番最初の元素(水素)」と「一番右端の元素(希ガス)」という、対照的な2つのグループを学びます。

1. 水素(H₂):宇宙で一番軽い元素

水素($H_2$)は、すべての元素の中で最も軽く、燃えやすい気体です。まずは「どうやって作るか」が重要です。

① 水素の作り方(ここがテストに出る!)

水素を作る方法は、「工場で大量に作る場合」と「実験室で少し作る場合」で異なります。

A. 実験室での作り方(超重要)

教科書p.223の図5を見てください。この実験装置のイラストはテストの定番です。

B. 工業的な作り方(参考程度)

石油や天然ガスを高温で加熱したり、水を電気分解したりして大量生産します。

② 水素の性質:「燃える」と「奪う」

水素には、大きく2つの特徴的な「性格」があります。

性格1:とにかく燃える(爆発的)

性格2:酸素を奪い取る「還元作用(かんげんさよう)」

2. 希ガス(18族):孤独を愛する安定な貴族

教科書p.224の下半分は、周期表の一番右側(18族)にある**「希ガス(きがす)」**の話です。

メンバーは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などです。

① なぜ「希(まれ)なガス」なのか?

英語では "Noble gas"(貴ガス=貴族のようなガス)とも呼ばれます。彼らの最大の特徴は、**「他の元素と全く反応しない」**ことです。

② 希ガスの特徴

  1. 単原子分子(たんげんしぶんし)
  1. 融点・沸点がめちゃくちゃ低い

③ 身近な用途

反応しない=「安全」という性質を利用しています。

まとめ:ここだけは押さえよう!

  1. 水素の実験室での製法:
  1. 水素の還元作用:
  1. 希ガス(18族):

 

カラフルな暴れん坊「ハロゲン」

1. ハロゲン単体:4兄弟の「色」と「強さ」のルール(p.225)

周期表の17族(F, Cl, Br, I)を**「ハロゲン」**と呼びます。

彼らは「あと電子が1個あれば完璧になれる!」という状態なので、他から電子を奪い取ろうとする力が非常に強い(酸化力が強い)のが特徴です。

この4兄弟には、上から順にきれいなグラデーションのような法則があります。表4(p.225)の内容は以下の表で完璧に覚えましょう。

元素記号常温での状態色(超重要!)反応の激しさ
フッ素$F_2$気体淡黄色(うすい黄色)最強(水とも爆発的に反応)
塩素$Cl_2$気体黄緑色(水に少し溶ける)
臭素$Br_2$液体赤褐色(暗い赤)
ヨウ素$I_2$固体黒紫色(黒っぽい紫)

ここがポイント!

  1. 状態の変化: 上から順に「気体 → 液体 → 固体」と重くなっていきます。
  2. 色の変化: 上から順に「薄い色 → 濃い色」になります。
  3. 反応性の強弱: 上が一番強く、下に行くほど弱くなります($F_2 > Cl_2 > Br_2 > I_2$)。

2. 主役:「塩素 ($Cl_2$)」をマスターする(p.226)

ハロゲンの中で最も出題されるのが塩素です。「作り方」と「性質」の両方が問われます。

① 塩素の作り方(実験室)

教科書p.226の図6の実験装置はテストの常連です。

  1. を通す → 余分な塩酸(HCl)を取り除く。
  2. 濃硫酸を通す → 水分($H_2O$)を取り除いて乾燥させる。

② 塩素の性質

3. その他のハロゲンの個性(p.227〜228)

フッ素 ($F_2$):危険すぎる暴れん坊

臭素 ($Br_2$):レアな液体

ヨウ素 ($I_2$):昇華とデンプン

4. ハロゲン化合物:水素とのコンビ「HX」(p.229〜230)

ハロゲンと水素がくっついたものを「ハロゲン化水素(HX)」といいます。

ここでも**「フッ化水素(HF)だけ仲間はずれ」**というルールが重要です。

化合物水溶液の名前酸の強さ沸点特徴
HF (フッ化水素)フッ化水素酸弱酸高い (19.5℃)ガラスを溶かす!
HCl (塩化水素)塩酸強酸低い (-85℃)アンモニアと白煙を作る
HBr臭化水素酸強酸低い 
HIヨウ化水素酸強酸低い 

なぜHF(フッ化水素)だけ特別なのか?

  1. 弱酸である: 水素とフッ素の結びつきが強すぎて、水の中であまり離れない(電離しない)からです。
  2. 沸点が高い: 分子同士が「水素結合」という特別な力で手をつなぐため、なかなか気体になりません。
  3. ガラスを溶かす: ガラスの主成分(二酸化ケイ素 $SiO_2$)と反応して溶かしてしまいます。そのため、ポリエチレン容器に入れて保存します(ガラス瓶はNG)。

5. 色で見分ける沈殿反応(p.230〜231)

最後に、「ハロゲンが含まれているか?」を調べる実験です。

銀イオン ($Ag^+$) を加えると、水に溶けない沈殿ができます。この沈殿の色がテストに出ます。

写真のフィルムの原理

これらの「ハロゲン化銀」に光が当たると、分解して銀 ($Ag$) が出てきて黒くなります。これを「感光性」といい、昔の写真フィルムに使われていました。

まとめ

  1. 色の順番言える? (淡黄→黄緑→赤褐→黒紫)
  2. 反応性の順番言える? ($F_2 > Cl_2 > Br_2 > I_2$)
  3. 塩素の作り方: 酸化マンガン(IV) + 濃塩酸。
  4. フッ化水素(HF)の例外: 弱酸、ガラスを溶かす、保存はポリエチレン容器。
  5. 銀との沈殿色: AgCl(白) → AgBr(淡黄) → AgI(黄)。

 

酸素と硫黄の「変身」

ここでは、私たちの呼吸に必要な「酸素」と、黄色い固体の「硫黄」について学びます。この単元のキーワードは**「同素体(どうそたい)」**です。

0. (前回のおさらい)さらし粉(p.232)

ハロゲンの最後に、生活で役立つ物質が一つ紹介されています。

1. 酸素族元素とは?(p.233)

周期表の16族(O, S, Se, Te)を酸素族元素と呼びます。

これらは17族(ハロゲン)ほどではありませんが、電子を欲しがる(陰性が強い)性質を持っています。

2. 酸素($O_2$):生命の源(p.233, 234)

酸素は空気の約21%を占める気体です。テストで問われるのは「作り方」です。

① 酸素の作り方(実験室)

教科書p.233の図10、p.234の図11の実験は非常に重要です。

② 酸素の性質

3. オゾン($O_3$):酸素の兄弟(p.234)

酸素($O_2$)と同じ「酸素原子(O)」だけでできているけれど、性質が違うものを**「同素体(どうそたい)」**と呼びます。

オゾン($O_3$)は酸素の同素体です。

① オゾンの作り方

② オゾンの特徴(酸素との違い)

③ オゾンの検出反応(重要!)

オゾンの強い酸化力を確かめる実験です。

「ヨウ化カリウムデンプン紙」をオゾンにさらすと、青色になります。

 

 

$$2KI + O_3 + H_2O \longrightarrow I_2 + 2KOH + O_2$$

理由: オゾンがヨウ化物イオン($I^-$)を酸化してヨウ素($I_2$)にしてしまい、そのヨウ素がデンプンと反応して青くなるからです。

4. 硫黄($S$):3つの変身(p.234-235)

硫黄も「同素体」がテストの主役です。3種類の姿を必ず区別できるようにしましょう。

名前斜方硫黄(しゃほういおう)単斜硫黄(たんしゃいおう)ゴム状硫黄
化学式$S_8$ (環状分子)$S_8$ (環状分子)$S_x$ (鎖状分子)
見た目黄色の塊状結晶淡黄色の針状結晶褐色のゴム状
作り方$CS_2$溶液を蒸発させる溶けた硫黄をゆっくり冷やす沸騰硫黄を水に急冷する
安定性最も安定(常温)冷えると斜方硫黄に戻るやがて斜方硫黄に戻る
二硫化炭素($CS_2$)への溶解溶ける溶ける溶けない

覚え方のポイント

  1. 基本は「斜方硫黄」: 常温で放置すると、最終的にみんな「斜方硫黄」になります。
  2. ゴム状だけ特別:

ここまでのまとめ

  1. 酸素の製法: 過酸化水素水($H_2O_2$)に触媒($MnO_2$)を加える。
  2. オゾン($O_3$): 淡青色、生臭い、酸化力が強い(ヨウ化カリウムデンプン紙を青変)。
  3. 硫黄の同素体:

 

危険な気体と硫酸の正体

1. 腐卵臭のガス:硫化水素 ($H_2S$)

温泉地に行くと漂う「腐った卵のようなにおい」。あれが硫化水素です。

① 作り方(実験室)

② 性質(ここが狙われる!)

  1. 猛毒: 強い毒性があります。
  2. 弱酸性: 水に少し溶けて弱い酸性を示します。
  3. 強い還元力(重要): 相手から酸素を奪ったり、電子を与えたりする力が強いです。

③ 金属イオンの検出(黒くなる!)

硫化水素は、いろいろな金属イオンとくっついて水に溶けない沈殿を作ります。

特に、**鉛イオン($Pb^{2+}$)**を含んだ試験紙に吹きかけると、黒色に変色します。

 

 

$$Pb^{2+} + S^{2-} \longrightarrow PbS(黒色沈殿)$$

2. 刺激臭のガス:二酸化硫黄 ($SO_2$)

火山ガスなどに含まれる、鼻を突くような刺激臭のある気体です。

① 作り方

② 性質

  1. 水に溶けて酸性: 水に溶けると亜硫酸($H_2SO_3$)になり、酸性を示します。
  2. 漂白作用: 色素を分解して白くする作用があります(還元漂白)。紙や衣類の漂白に使われます。
  3. 還元剤ときどき酸化剤: 基本的には「還元剤」ですが、相手が最強の還元剤($H_2S$)のときだけは、「酸化剤」として働きます。

3. 化学工業の王様:硫酸 ($H_2SO_4$)

硫酸は、肥料、繊維、薬品などあらゆる産業で使われる超重要物質です。

**「作り方」と「濃硫酸 vs 希硫酸」**の違いをマスターしましょう。

① 工業的製法:「接触法(せっしょくほう)」

この名前と手順はテスト必出です!(p.238 図17)

  1. 硫黄を燃やす: $S + O_2 \longrightarrow SO_2$ (二酸化硫黄を作る)
  2. 酸化する(ここが核心): $SO_2$ をさらに酸化して $SO_3$(三酸化硫黄)にします。
  1. 水に溶かす: 実際には濃硫酸に吸収させてから水で薄め、濃硫酸を完成させます。

② 「濃硫酸」の5つの性質(p.239)

水あめのようにドロっとした重い液体です。「ただの酸」ではありません。特殊能力を持っています。

  1. 不揮発性(ふきはつせい): 加熱しても蒸発しにくい。
  1. 吸湿性(きゅうしつせい): 水分を強力に吸収する。
  1. 脱水作用(だっすいさよう): 化合物の中から、水素と酸素を$H_2O$(水)の形で無理やり引き抜きます。
  1. 溶解熱がすごい: 水に溶かすとものすごい熱を出します。
  1. 酸化作用(熱濃硫酸): 熱した濃硫酸は、銅や銀なども溶かす強力な酸化力を持ちます($SO_2$が発生)。

③ 「希硫酸」の性質(p.240)

濃硫酸を水で薄めたものが「希硫酸」です。こちらは**「ふつうの強い酸」**です。

4. 硫酸イオンの検出(p.240)

「この水溶液に硫酸イオン($SO_4^{2-}$)は入っているかな?」と調べる方法です。

全体のまとめ:ここだけは暗記!

  1. 硫化水素($H_2S$): 腐卵臭、猛毒。鉛イオンで黒変する。
  2. 二酸化硫黄($SO_2$): 刺激臭、漂白作用。銅+熱濃硫酸で作る。
  3. 硫酸の製法: 接触法(触媒は酸化バナジウム $V_2O_5$)。
  4. 濃硫酸の注意点: 必ず**「水に酸を加える」**。
  5. 濃硫酸の作用: 乾燥剤(吸湿性)や、砂糖を炭にする(脱水作用)。
  6. 検出反応: バリウムイオンで白色沈殿

 

窒素・リンとアンモニア

1. 窒素族元素とは?(p.241)

周期表の15族(N, P, As, Sb, Bi)を窒素族と呼びます。

特に重要なのが、一番上の**窒素(N)と、その下のリン(P)**です。

① 窒素 ($N_2$):空気の主役

② リン ($P$):光と炎

リンは自然界には単体で存在せず、岩石(リン鉱石)や動物の骨などに含まれています。

リンには有名な**「同素体」**が2つあります。この違いはテスト必出です!(表13)

特徴黄リン(おうりん)赤リン(せきりん)
化学式$P_4$ (正四面体形)$P_x$ (網目状構造)
毒性猛毒なし(無毒)
発火点低い(約60℃)。空気中で自然発火する。高い(約260℃)。自然発火しない。
保存水中に保存(空気と触れさせないため)ビンに入れて普通に保存
用途-マッチの箱の側面(摩擦面)
リアクション$CS_2$(二硫化炭素)によく溶ける$CS_2$に溶けない

覚え方:

「黄色い牙の猛獣が、水に潜んで自然発火!」(黄リン、猛毒、水中保存、自然発火)

赤リンはマッチの赤色だから安全、と覚えましょう。

2. アンモニア ($NH_3$):最強の塩基性ガス(p.242-243)

アンモニアは、「唯一の塩基性(アルカリ性)の気体」として非常に重要です。

① 工業的製法:「ハーバー・ボッシュ法」(p.242)

空気中の窒素($N_2$)と、水素($H_2$)から、直接アンモニアを作る方法です。

 

 

$$N_2 + 3H_2 \rightleftharpoons 2NH_3$$

② 実験室での製法(p.243)

③ アンモニアの性質(実験)

  1. 水への溶解: 水にものすごくよく溶けます。
  1. 白煙反応: 塩化水素($HCl$)と出会うと、真っ白な煙(塩化アンモニウムの固体粉末)を出します。

    $$NH_3 + HCl \longrightarrow NH_4Cl$$
  2. 錯イオン形成: 銀イオン($Ag^+$)や銅イオン($Cu^{2+}$)などとくっついて、水に溶ける特殊なイオン(錯イオン)を作ります。

3. 一酸化窒素 ($NO$) の製法と性質(p.243-244)

ここからは「窒素の酸化物」シリーズです。まずは $NO$ です。

まとめ

  1. 窒素($N_2$): 三重結合で安定。空気の78%。
  2. 黄リン: 自然発火する猛毒(水中保存)。
  3. 赤リン: マッチの摩擦面に使う(安全)。
  4. ハーバー法: $N_2 + 3H_2 \to 2NH_3$ (触媒は鉄)。
  5. アンモニアの性質: 水によく溶ける塩基性ガス。$HCl$と白煙を作る。
  6. 一酸化窒素($NO$): 銅+希硝酸で作る。無色。

赤褐色のガスと硝酸の力

1. 二酸化窒素 ($NO_2$):赤くて臭いガス(p.244)

前回学んだ一酸化窒素($NO$)は無色でしたが、こちらは色がついています。

① 作り方(超重要)

② 性質

  1. 見た目: 赤褐色(赤茶色)の気体で、刺激臭があり有毒です。
  2. 水への溶解: 水によく溶けます。溶けると硝酸($HNO_3$)になります(後述のオストワルト法で利用)。

    $$3NO_2 + H_2O \longrightarrow 2HNO_3 + NO$$
  3. 変身(平衡): 2つの分子がくっついたり離れたりします。

2. 硝酸 ($HNO_3$):強力な酸化剤(p.244-245)

硝酸は、火薬や肥料の原料になる非常に重要な酸です。

① 工業的製法:「オストワルト法」(p.244)

アンモニアから硝酸を作る方法です。3段階のドミノ倒しのような反応です。

まとめの式:

 

 

$$NH_3 + 2O_2 \longrightarrow HNO_3 + H_2O$$

② 実験室的製法(p.245)

3. 硝酸の特別な性質(ここがテストに出る!)

硝酸は「強い酸」であるだけでなく、「強い酸化剤(相手を溶かす力)」を持っています。

① 金属を溶かす力(p.245)

ふつうの酸(塩酸や希硫酸)には溶けない銅($Cu$)や銀($Ag$)も、硝酸には溶けます。

覚え方:

「希(き)でNo(ノー)、濃(のう)でNo.2(ノーツー)」

② 溶けない金属:「不動態(ふどうたい)」

逆に、アルミニウム($Al$)、鉄($Fe$)、ニッケル($Ni$)などは、濃硝酸には溶けません

③ 金も溶かす:「王水(おうすい)」

濃硝酸と濃塩酸を $1 : 3$ の体積比で混ぜた液を「王水」といいます。

これは非常に酸化力が強く、金($Au$)や白金($Pt$)さえも溶かします。

覚え方:

「一硝(いっしょう)三塩(さんえん)」= 硝酸1:塩酸3

④ 硝酸イオンの検出:「褐色環(かっしょくかん)反応」

「この液体に硝酸イオンは入っているかな?」と調べる実験です。

硫酸鉄(II)水溶液と濃硫酸を加えると、液の境目に褐色の輪ができます。Shutterstock

4. リンの化合物(p.246)

最後にリン(P)の化合物を2つだけ覚えましょう。

① 十酸化四リン ($P_4O_{10}$)

② リン酸 ($H_3PO_4$)

全体のまとめ:窒素族の重要ポイント

この「窒素族」の単元で絶対に落としてはいけないポイントは以下の通りです。

  1. 気体の製法と色:
  1. オストワルト法:
  1. 金属との反応ルール:
  1. リンの化合物:

 

窒素・リンとアンモニア

1. 窒素族元素とは?(p.241)

周期表の15族(N, P, As, Sb, Bi)を窒素族と呼びます。

特に重要なのが、一番上の**窒素(N)と、その下のリン(P)**です。

① 窒素 ($N_2$):空気の主役

② リン ($P$):光と炎

リンは自然界には単体で存在せず、岩石(リン鉱石)や動物の骨などに含まれています。

リンには有名な**「同素体」**が2つあります。この違いはテスト必出です!(p.242 表13)

特徴黄リン(おうりん)赤リン(せきりん)
化学式$P_4$ (正四面体形)$P_x$ (網目状構造)
毒性極めて有毒(猛毒)なし(無毒)
発火点低い(60℃)。空気中で自然発火する。高い(260℃)。自然発火しない。
保存水中に保存(空気と触れさせないため)ビンに入れて普通に保存
用途-マッチの箱の側面(摩擦面)
リアクション$CS_2$(二硫化炭素)によく溶ける$CS_2$に溶けない

覚え方:

「黄色い牙の猛獣が、水に潜んで自然発火!」(黄リン、猛毒、水中保存、自然発火)

赤リンはマッチの赤色だから安全、と覚えましょう。

2. アンモニア ($NH_3$):最強の塩基性ガス(p.242-243)

アンモニアは、「唯一の塩基性(アルカリ性)の気体」として非常に重要です。

① 工業的製法:「ハーバー・ボッシュ法」(p.242)

空気中の窒素($N_2$)と、水素($H_2$)から、直接アンモニアを作る方法です。

 

 

$$N_2 + 3H_2 \rightleftharpoons 2NH_3 + 92.2 \text{kJ}$$

② 実験室での製法(p.243)

③ アンモニアの性質(実験)

  1. 水への溶解: 水にものすごくよく溶けます。
  1. 白煙反応: 塩化水素($HCl$)と出会うと、真っ白な煙(塩化アンモニウムの固体粉末)を出します。

    $$NH_3 + HCl \longrightarrow NH_4Cl$$
  2. 検出反応: ネスラー試薬を加えると、微量でも**赤褐色(〜黄褐色)**の沈殿を生じます。

3. 一酸化窒素 ($NO$) の製法と性質(p.243-244)

ここからは「窒素の酸化物」シリーズです。まずは $NO$ です。

まとめ

  1. 窒素($N_2$): 三重結合で安定。空気の約80%。
  2. 黄リン: 自然発火する猛毒(水中保存)。
  3. 赤リン: マッチの摩擦面に使う(安全)。
  4. ハーバー法: $N_2 + 3H_2 \rightleftharpoons 2NH_3$ (触媒は$Fe_3O_4$)。
  5. アンモニアの性質: 水によく溶ける塩基性ガス。$HCl$と白煙を作る。
  6. 一酸化窒素($NO$): 銅+希硝酸で作る。無色。

 

赤褐色のガスと硝酸の力

1. 二酸化窒素 ($NO_2$):赤くて臭いガス(p.244)

前回学んだ一酸化窒素($NO$)は無色でしたが、こちらは色がついています。

① 作り方(超重要)

② 性質

  1. 見た目: 赤褐色(赤茶色)の気体で、刺激臭があり有毒です。
  2. 水への溶解: 水によく溶けます。溶けると硝酸($HNO_3$)と亜硝酸($HNO_2$)になります(温水の場合は硝酸と一酸化窒素)。
  1. 変身(平衡): 2つの分子がくっついたり離れたりします。

2. 硝酸 ($HNO_3$):強力な酸化剤(p.244-245)

硝酸は、火薬や肥料の原料になる非常に重要な酸です。

① 工業的製法:「オストワルト法」(p.244)

アンモニアから硝酸を作る方法です。3段階のドミノ倒しのような反応です。

まとめの式:

 

 

$$NH_3 + 2O_2 \longrightarrow HNO_3 + H_2O$$

 

(※この式は反応全体をまとめたものです)

② 実験室的製法(p.245)

3. 硝酸の特別な性質(ここがテストに出る!)

硝酸は「強い酸」であるだけでなく、「強い酸化剤(相手を溶かす力)」を持っています。

① 保存方法(p.245)

② 金属を溶かす力(p.245)

ふつうの酸(塩酸や希硫酸)には溶けない銅($Cu$)や銀($Ag$)も、硝酸には溶けます。

覚え方:

「希(き)でNo(ノー)、濃(のう)でNo.2(ノーツー)」

③ 溶けない金属:「不動態(ふどうたい)」

逆に、アルミニウム($Al$)、鉄($Fe$)、ニッケル($Ni$)などは、濃硝酸には溶けません

④ 金も溶かす:「王水(おうすい)」

濃硝酸と濃塩酸を $1 : 3$ の体積比で混ぜた液を「王水」といいます。

これは非常に酸化力が強く、金($Au$)や白金($Pt$)さえも溶かします。

覚え方:

「一硝(いっしょう)三塩(さんえん)」= 硝酸1:塩酸3

⑤ 硝酸イオンの検出:「褐色環(かっしょくかん)反応」

「この液体に硝酸イオン($NO_3^-$)は入っているかな?」と調べる実験です。

硫酸鉄(II)($FeSO_4$)水溶液と濃硫酸を加えると、液の境目に褐色の輪ができます。Shutterstock

4. リンの化合物(p.246)

最後にリン(P)の化合物を2つだけ覚えましょう。

① 十酸化四リン ($P_4O_{10}$)

② リン酸 ($H_3PO_4$)

全体のまとめ:窒素族の重要ポイント

この「窒素族」の単元で絶対に落としてはいけないポイントは以下の通りです。

  1. 気体の製法と色:
  1. オストワルト法:
  1. 金属との反応ルール:
  1. リンの化合物:

 

炭素の変身と2つのガス

1. 炭素族元素とは?(p.247)

周期表の14族(C, Si, Ge, Sn, Pb)を炭素族といいます。

価電子(一番外側の電子)は4個です。

2. 炭素(C)の同素体(p.247)

炭素には、見た目も性質も全く違う「同素体」が4種類あります。それぞれの違いがテストに出ます。

同素体ダイヤモンド黒鉛(グラファイト)無定形炭素フラーレン
構造正四面体形(立体網目)正六角形(層状構造)不規則サッカーボール状 ($C_{60}$など)
硬さ極めて硬い柔らかい(剝がれやすい)--
電気通さないよく通す通すものもある-
用途宝石、研磨剤鉛筆の芯、電極木炭、活性炭新素材

ポイント:

3. 一酸化炭素(CO):静かなる暗殺者(p.248)

炭素が燃えるとき、酸素が足りないと発生する気体です。

① 作り方(重要)

② 性質(危険!)

  1. 猛毒: 吸い込むと、血液中のヘモグロビンと強力にくっつき、酸素を運べなくしてしまいます(一酸化炭素中毒)。
  2. 可燃性: 青白い炎を上げて燃えます。

    $$2CO + O_2 \longrightarrow 2CO_2$$
  3. 還元作用(超重要): 相手から酸素を奪う力が強いです。これを利用して、鉄鉱石(酸化鉄)から鉄を取り出すのに使われます(溶鉱炉の反応)。

    $$Fe_2O_3 + 3CO \longrightarrow 2Fe + 3CO_2$$

4. 二酸化炭素(CO₂):身近な酸性ガス(p.249)

① 作り方(実験室)

石灰石($CaCO_3$) に 希塩酸 を加える。

 

 

$$CaCO_3 + 2HCl \longrightarrow CaCl_2 + H_2O + CO_2$$

② 性質

  1. 重い: 空気より重い気体です(下方置換法で集める)。
  2. ドライアイス: 固体になったものをドライアイスといいます。液体にならず直接気体になる**「昇華性」**があります。
  3. 弱酸性: 水に少し溶けて炭酸($H_2CO_3$)になり、弱い酸性を示します。

③ 検出反応(石灰水の変化)

二酸化炭素かどうかを確かめるには、**石灰水(水酸化カルシウム水溶液)**に通します。

  1. 白く濁る: 水に溶けない炭酸カルシウム($CaCO_3$)ができるからです。

    $$Ca(OH)_2 + CO_2 \longrightarrow CaCO_3(白) + H_2O$$
  2. さらに通すと透明になる: 白く濁った後もしつこく$CO_2$を通し続けると、水に溶ける炭酸水素カルシウムに変化して透明に戻ります。

    $$CaCO_3 + H_2O + CO_2 \longrightarrow Ca(HCO_3)_2(透明・溶解)$$

5. 炭酸塩の性質(p.250上半分)

炭酸イオン($CO_3^{2-}$)を含む化合物のルールです。

  1. 水に溶ける?: ナトリウムやカリウムの塩($Na_2CO_3$など)は溶けますが、カルシウムの塩($CaCO_3$)などは水に溶けません
  2. 酸を加えると?: 二酸化炭素を出してシュワシュワ泡立ちます(上記$CO_2$の製法と同じ)。
  3. 熱すると?: 熱分解して$CO_2$を出します。

    $$CaCO_3 \longrightarrow CaO + CO_2$$

まとめ

  1. 炭素の同素体: ダイヤ(硬い)、黒鉛(電気通す)、フラーレンなど。
  2. 一酸化炭素(CO): ギ酸の脱水で作る。毒性あり。還元作用(製鉄)あり。
  3. 二酸化炭素(CO₂): 石灰石+塩酸で作る。水溶液は弱酸性。
  4. 石灰水反応: $CO_2$を通すと白濁する。さらに通すと透明になる。

 

岩石からシリカゲルまで

1. ケイ素(Si):地球を覆う半導体(p.248)

炭素の下にある元素「ケイ素」は、酸素に次いで地球上に2番目に多く存在する元素です(岩石や砂の主成分です)。

① 作り方

自然界には単体(Si)では存在せず、酸化物($SiO_2$)として存在しています。

② 性質

  1. 見た目: 灰色の金属光沢を持つ固体ですが、金属ではありません。
  2. 半導体: 電気を少しだけ通します。高純度のものは、IC(集積回路)や太陽電池の材料になります。
  3. 反応:

2. 二酸化ケイ素($SiO_2$):最強の石(p.250)

天然には「石英(せきえい)」や「水晶」、「ケイ砂」として存在します。ガラスの原料です。

① 構造と性質

② 化学反応(ここがテストに出る!)

二酸化ケイ素は薬品にめったに反応しませんが、唯一の例外があります。

  1. フッ化水素酸(HF)にだけは溶ける!
  1. 塩基(アルカリ)と融解して溶ける

3. ケイ酸とシリカゲル(p.251)

ここからの「物質の変化の流れ」は、セットで覚えましょう。

step 1:水ガラスを作る

先ほどの反応でできたケイ酸ナトリウム($Na_2SiO_3$)に水を加えて熱すると、透明で水あめのようなネバネバした液体になります。これを**「水ガラス」**といいます。

step 2:ケイ酸を作る

水ガラス(塩基性)に、塩酸(酸)を加えます。

すると、「弱酸の遊離」反応が起きて、白色のゼリー状の沈殿ができます。これが**ケイ酸($H_2SiO_3$)**です。

 

 

$$Na_2SiO_3 + 2HCl \longrightarrow H_2SiO_3(白沈) + 2NaCl$$

step 3:シリカゲルの完成!

ゼリー状のケイ酸を加熱して乾燥させると(脱水)、水分が抜けてスカスカの固体になります。これがシリカゲルです。

4. セラミックスと新素材(p.251)

全体のまとめ:ケイ素の流れをマスター

この単元は、以下の「しりとり」のような物質変化の流れが最重要です。

  1. 二酸化ケイ素($SiO_2$): 硬い石。**HF(フッ化水素)**にだけ溶ける。
    $\downarrow$ ($Na_2CO_3$と加熱融解)
  2. ケイ酸ナトリウム($Na_2SiO_3$): これを水に溶かすと水ガラス(ネバネバ)。
    $\downarrow$ (塩酸を加える)
  3. ケイ酸($H_2SiO_3$): 白いゼリー状の沈殿。
    $\downarrow$ (乾燥させる)
  4. シリカゲル: 多孔質で、乾燥剤として働く。

 

気体の作り方・完全攻略リスト

この表は、入試やテストで「この気体を作るには何を混ぜる?」と聞かれたときの答えそのものです。

「実験室での作り方(実)」と「工場での大量生産(工)」に分けて解説します。

1. 水素・希ガス・ハロゲン(p.252)

水素 ($H_2$)

塩素 ($Cl_2$)

ハロゲン化水素 ($HCl, HF$)

ここは「濃硫酸」を使うのが共通点です。

2. 酸素・硫黄の化合物(p.252)

酸素 ($O_2$)

  1. 過酸化水素水($H_2O_2$) に触媒($MnO_2$)を加える(加熱不要)。

    $$2H_2O_2 \longrightarrow 2H_2O + O_2$$
  2. 塩素酸カリウム($KClO_3$) に触媒($MnO_2$)を加えて加熱。

硫化水素 ($H_2S$)

二酸化硫黄 ($SO_2$)

3. 窒素の化合物(p.252下〜p.253上)

窒素 ($N_2$)

アンモニア ($NH_3$)

窒素酸化物 ($NO, NO_2$)

銅($Cu$)と「硝酸」の濃さの違いがポイントでしたね。

4. 炭素の化合物(p.253上)

一酸化炭素 ($CO$)

二酸化炭素 ($CO_2$)

ここまでのポイント整理

気体の製法は、以下の「4つのパターン」で覚えると整理しやすいです。

  1. 酸を加えるだけ(弱酸の遊離など): $H_2, H_2S, CO_2$
  2. 酸化剤+酸+加熱(酸化還元): $Cl_2$
  3. 濃硫酸+加熱(揮発性酸の遊離・脱水): $HCl, HF, CO$
  4. 銅+酸(酸化還元): $SO_2, NO, NO_2$

気体の「色・におい・集め方」

1. 「色」がついている気体(超重要)

高校化学で出てくる気体のほとんどは「無色」です。

だからこそ、色がついている「例外」だけを覚えればOKです。この表の中では2つだけです。

  1. 塩素 ($Cl_2$) $\longrightarrow$ 黄緑色
  2. 二酸化窒素 ($NO_2$) $\longrightarrow$ 赤褐色(赤茶色)

補足: この表にはありませんが、オゾン($O_3$)は「淡青色」、フッ素($F_2$)は「淡黄色」でしたね。これら以外は「無色」と答えれば正解です。

2. 「におい」の分類

においも3つのグループに分けると覚えやすいです。

  1. 刺激臭(鼻を突くツーンとするにおい):
  1. 腐卵臭(腐った卵のにおい):
  1. 無臭(においなし):

3. 気体の「集め方」のルール

気体の集め方は3種類ありますが、どれを使うかは**「水に溶けるか?」「重さは?」**で自動的に決まります。

① 水上置換法(水の中で集める)

② 下方置換法(ビンの底にためる)

③ 上方置換法(ビンの天井にためる)

例外:フッ化水素($HF$)

$HF$は水にめちゃくちゃ溶けますが、沸点が19.5℃と高く、常温では液体になりかけの状態だったりするため、下方置換で集めることが多いですが、この表では集め方の記載が省略されています。

4. 液性のまとめ(リトマス紙の変化)

最後に、水に溶けたとき何性になるかです。

  1. 塩基性(アルカリ性):
  1. 酸性:
  1. 中性(溶けにくいもの):

全体の総まとめ:テスト直前チェック

今回アップロードしていただいた教科書の範囲(無機物質)を攻略するコツは、**「例外」や「唯一のもの」**を優先して覚えることです。

 

暴れん坊「アルカリ金属」

1. アルカリ金属の単体(p.254, 256)

周期表の一番左、1族の元素(Hは除く)をアルカリ金属といいます。

メンバーは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)です。

① 性質:「軽い・柔い・溶けやすい」

② 反応性:「水禁止!」

アルカリ金属は、原子番号が大きくなるほど(下に行くほど)反応性が激しくなります。

  1. 水との反応(危険!):
  1. 空気との反応:
  1. 保存方法:

③ 炎色反応(花火の色)

アルカリ金属を炎の中に入れると、特有の色がつきます。これを炎色反応といいます。

テストでは「色」の暗記が必須です。

元素Li (リチウム)Na (ナトリウム)K (カリウム)Rb (ルビジウム)Cs (セシウム)
(深赤)赤紫深赤青紫

有名な語呂合わせ:

「リアカー(Li 赤) なき(Na 黄) K村(K 紫) 借(Ca 橙)りとう(Sr 紅) する(Sr) べ(Ba 黄緑) くれない(紅)」

※Ca, Sr, Baは2族ですが、一緒に覚えるのが定番です。

2. ナトリウムの化合物(p.256-257)

① 水酸化ナトリウム ($NaOH$)

別名:苛性(かせい)ソーダ。皮膚を溶かす危険な物質です。

② 炭酸ナトリウム ($Na_2CO_3$) と 炭酸水素ナトリウム ($NaHCO_3$)

名前が似ているこの2人兄弟の違いは、テストの頻出ポイントです(表17)。

性質炭酸ナトリウム (Na2​CO3​)炭酸水素ナトリウム (NaHCO3​)
通称炭酸ソーダ重曹(ベーキングパウダー)
水溶性よく溶ける少し溶ける
液性かなり強い塩基性弱い塩基性
熱分解しない分解して$CO_2$を出す
用途ガラス原料発泡入浴剤、ふくらし粉

共通点: どちらも塩酸を加えると**二酸化炭素($CO_2$)**が発生します。

3. アンモニアソーダ法(ソルベー法)(p.257-258)

「食塩($NaCl$)」と「石灰石($CaCO_3$)」という安い材料から、ガラスの原料になる「炭酸ナトリウム($Na_2CO_3$)」を大量生産する、魔法のような工業的製法です。

流れ(5つのステップ) をざっくり理解しましょう。

  1. 食塩水にアンモニアと二酸化炭素を吹き込む:
  1. 焼く(熱分解):
  1. リサイクル(ここがすごい):

まとめ

  1. アルカリ金属(Li, Na, K...): 水と激しく反応して水素を出す。石油中に保存。
  2. 炎色反応: Li(赤)、Na(黄)、K(紫)。
  3. NaOH: 潮解性がある強塩基。
  4. $NaHCO_3$(重曹): 熱分解して$CO_2$を出す(ふくらし粉)。
  5. アンモニアソーダ法: 食塩から$Na_2CO_3$を作る工業的製法。

 

2族元素とカルシウムの旅

1. 2族元素と「アルカリ土類金属」(p.259)

周期表の2族(Be, Mg, Ca, Sr, Ba, Ra)ですが、ここには少し細かい「呼び名のルール」があります。

① 「アルカリ土類金属」の定義

② 水との反応(違いが出る!)

アルカリ金属(1族)は爆発的に反応しましたが、2族は少し大人しいです。

元素Mg (マグネシウム)Ca, Sr, Ba (アルカリ土類)
常温の水反応しない反応して水素を出す
熱水反応する激しく反応する
炎色反応なし色が出る

炎色反応の色(暗記)

2. カルシウムの化合物:石灰のサイクル(p.259-260)

ここがこの単元のハイライトです。石灰石($CaCO_3$)を出発点にして、加熱したり水を加えたりすると、物質がぐるぐる変化します。

step 1:焼く(石灰石 $\to$ 生石灰)

石灰石(炭酸カルシウム $CaCO_3$)を高温で焼くと、二酸化炭素が抜けて**生石灰(酸化カルシウム $CaO$)**になります。

 

 

$$CaCO_3 \longrightarrow CaO + CO_2$$

step 2:水を加える(生石灰 $\to$ 消石灰)

生石灰($CaO$)に水を加えると、ものすごい熱(発熱)を出して**消石灰(水酸化カルシウム $Ca(OH)_2$)**になります。

 

 

$$CaO + H_2O \longrightarrow Ca(OH)_2 + \text{熱}$$

step 3:水に溶かす(石灰水)

消石灰($Ca(OH)_2$)を水に溶かした上澄み液が、実験でおなじみの**「石灰水」**です。強い塩基性を示します。

step 4:息を吹き込む(石灰水 $\to$ 白濁)

石灰水に二酸化炭素($CO_2$)を通すと、元の**炭酸カルシウム($CaCO_3$)**に戻り、水に溶けないので白く濁ります。

 

 

$$Ca(OH)_2 + CO_2 \longrightarrow CaCO_3 \downarrow (\text{白}) + H_2O$$

3. 鍾乳洞ができる仕組み(p.260)

「白く濁った石灰水に、さらにしつこく$CO_2$を吹き込み続けるとどうなるか?」

実は、透明に戻ります。

stalactites and stalagmites formation diagramの画像Shutterstock
詳しく見る

 

4. セッコウとその他の化合物(p.260-261)

① 硫酸カルシウム(セッコウ)

セッコウ(石膏)は美術室にある白い像や、骨折したときのギプスの材料です。

② 硫酸バリウム ($BaSO_4$)

③ 塩化マグネシウム ($MgCl_2$)

④ 塩化カルシウム ($CaCl_2$)

全体の総まとめ:無機化学のフィナーレ

これで、今回頂いた全ての画像の解説が完了しました!

最後に、2族元素の重要ポイントを整理します。

  1. アルカリ土類金属: Ca, Sr, Ba, Ra。(Be, Mgは含まない)。
  2. 反応性の違い: Mgは熱水と反応。Caなどは冷水とも反応。
  3. 石灰のサイクル:
  1. 鍾乳洞反応: $CO_2$過剰で透明になる($Ca(HCO_3)_2$)。
  2. セッコウ: 水を加えると固まる。

 

変幻自在の金属「アルミニウム」

1. アルミニウムの単体(p.262)

アルミニウム($Al$)は、1円玉やアルミ箔など身近な金属ですが、実はすごい能力を隠し持っています。

① 基本的な性質

② テルミット反応(豪快な実験!)

アルミニウムの粉末と、酸化鉄(サビ)を混ぜて火をつけると、ものすごい熱と光を出して燃えます。

③ 「両性元素」である(超重要)

ここがテストのハイライトです。普通の金属は「酸」には溶けますが、「塩基」には溶けません。

しかし、アルミニウムは酸とも強塩基とも反応して、水素を出して溶けます。

2. アルミニウムの化合物(p.263)

① 酸化アルミニウム ($Al_2O_3$)

② 水酸化アルミニウム ($Al(OH)_3$)

3. 「沈殿」と「溶解」のパズル(p.263 図41)

ここが最もテストに出る「実験操作」です。

「アルミニウムイオン($Al^{3+}$)が入った液」に、水酸化ナトリウムを「少し」入れた場合と、「大量に」入れた場合で結果が変わります。

実験の流れ(ストーリーで覚える!)

  1. スタート: 透明な $Al^{3+}$ の水溶液。
  2. 水酸化ナトリウムを「少量」加える:
  1. 水酸化ナトリウムを「過剰に(大量に)」加える:

ひっかけ注意!「アンモニア」の場合

もし、加えるのが強塩基($NaOH$)ではなく、**弱塩基(アンモニア $NH_3$)**だったら?

結論: 「一度できた沈殿を溶かしたければ、強塩基を使え!」

4. ミョウバン(p.264)

まとめ

  1. 両性元素: アルミニウムはとも強塩基とも反応して水素を出す。
  2. 不動態: 濃硝酸には溶けない。
  3. テルミット反応: $Al$の粉末で酸化鉄を還元し、高熱を出す。
  4. 沈殿反応(最重要):

 

両性元素の仲間と水銀

1. 亜鉛(Zn):アルミニウムのライバル(p.265-266)

亜鉛は電池の負極やトタン(鉄へのメッキ)に使われる身近な金属です。

① 両性元素としての性質

アルミニウムと同様に、とも強塩基とも反応して水素を出して溶けます。

② 沈殿反応:ここがアルミニウムとの決定的な違い!

「亜鉛イオン($Zn^{2+}$)」を含む水溶液に塩基を加える実験操作を整理します。これがテストの識別ポイントです。

  1. 少量の塩基:
  1. 過剰の強塩基 ($NaOH$):
  1. 過剰のアンモニア ($NH_3$):

覚え方:

「あ(Al)あ(亜鉛)すん(Sn)なり(Pb)両性元素」

「亜鉛(あえん)はアンモニア(あ)に溶ける」 と覚えましょう。

2. 水銀(Hg):唯一の液体金属(p.266)

3. スズ(Sn)と鉛(Pb):14族の重鎮(p.266-267)

炭素やケイ素と同じ「14族」の下の方にいる金属です。これらも両性元素です。

① スズ(Sn)

② 鉛(Pb)

全体の総まとめ:両性元素4兄弟のルール

教科書p.267の表20と「まとめ」ボックスの内容が、この単元の全てです。

  1. 両性元素のメンバー: Al, Zn, Sn, Pb (ああすんなり)。
  1. 錯イオンを作る相手(過剰添加):
  1. メッキの違い:

カラフルな「遷移元素」と「錯イオン」

1. 遷移元素とは?(p.269)

周期表の3族〜11族にある元素を「遷移元素」といいます。

これまでの典型元素とは、キャラが大きく異なります。

① 横並びの仲良しグループ

② 遷移元素の4つの特徴(超重要)

典型元素の金属(AlやZnなど)と区別するために、この4つの特徴を覚えましょう。

  1. すべて金属である(重金属が多く、融点が高い)。
  2. いろいろな酸化数をとる
  1. イオンや化合物に「色」がついているものが多い
  1. 錯(さく)イオンをつくりやすい

2. 「錯イオン」ってなに?(p.270-271)

金属イオンが、服を着るように他の分子を身にまとって、一つの巨大なイオンになったものを**「錯イオン」**といいます。

① 構造の仕組み

② 形と数(テストに出る組み合わせ!)

「どの金属」に「何個」くっついて、「どんな形」になるかは決まっています。以下の表を暗記しましょう(p.271 図50)。

金属イオン配位数(くっつく数)代表的な錯イオン
$Ag^+$ (銀)2直線型

$[Ag(CN)_2]^-$

 

ジシアノ銀(I)酸イオン

無色
$Zn^{2+}$ (亜鉛)4正四面体

$[Zn(NH_3)_4]^{2+}$

 

テトラアンミン亜鉛(II)イオン

無色
$Cu^{2+}$ (銅)4正方形

$[Cu(NH_3)_4]^{2+}$

 

テトラアンミン銅(II)イオン

深青色
$Fe^{2+}, Fe^{3+}$6正八面体$[Fe(CN)_6]^{3-}$など黄色等

覚え方のコツ(数と形):

③ 名前の付け方(p.270-271)

呪文のように聞こえますが、ルール通りに読んでいるだけです。

例:$[Cu(NH_3)_4]^{2+}$

  1. 数: 4つあるので「テトラ」(1:モノ, 2:ジ, 3:トリ, 4:テトラ, 6:ヘキサ)。
  2. 配位子: アンモニアは「アンミン」。
  3. 金属: 「銅(II)」。
  4. 最後: 陽イオンなら「〜イオン」、陰イオンなら「〜酸イオン」。
    $\to$ つなげて**「テトラ・アンミン・銅(II)・イオン」**となります。

第10章(前編)のまとめ

  1. 遷移元素: 3〜11族。すべて金属。色付きイオン、多様な酸化数、錯イオン形成が特徴。
  2. 錯イオン: 金属イオンに非共有電子対を持つ分子(配位子)が配位結合したもの。
  3. 形の暗記:
  1. 銅の錯イオン: アンモニアを加えると深青色になる(超頻出)。

鉄のドラマと合金のレシピ

1. 鉄(Fe):文明を支える金属(p.272-273)

① 2種類の「サビ」

鉄は湿った空気中ではすぐに錆びますが、実はサビには2種類あります。

  1. 赤さび ($Fe_2O_3$):
  1. 黒さび ($Fe_3O_4$):

② 鉄の工業的製法(高炉の仕組み)

鉄は自然界では「酸化鉄(赤鉄鉱や磁鉄鉱)」として存在します。ここから酸素を奪い取る(還元する)必要があります。

③ 「銑鉄(せんてつ)」と「鋼(こう)」

高炉から出てきたばかりの鉄と、製品になる鉄は違います。**「炭素の量」**が決め手です。

2. 銅(Cu)・銀(Ag)・金(Au):オリンピックのメダル金属(p.273)

これらは11族の元素で、昔から硬貨や装飾品に使われてきました。

① 性質比べ

② 化学的性質

3. 合金(ごうきん):金属のブレンド(p.274)

2種類以上の金属を溶かし合わせたものを合金といいます。

特に銅の合金(黄銅・青銅・白銅)は、成分を問われる問題が頻出です。

① 銅の合金(絶対に覚える!)

名前別名成分覚え方のイメージ用途
黄銅真鍮(しんちゅう)Cu + Zn (亜鉛)しくあえ(亜鉛)で」5円玉、楽器(トランペット等)
青銅ブロンズCu + Sn (スズ)スズ(スズ)」10円玉、銅像、鐘
白銅-Cu + Ni (ニッケル)-50円玉、100円玉

② その他の重要合金

全体の総まとめ:遷移元素のポイント

  1. 遷移元素の特徴: すべて金属、有色イオン、錯イオンを作る。
  2. 鉄の製造:
  1. 銅の合金(最重要):

カラフルな遷移元素たち

1. クロム(Cr):カメレオンのような変色(p.275)

クロムの化合物は、酸性か塩基性かによって色がコロコロ変わるのが特徴です。

① 2つのイオンと色の変化

この2つのイオンの関係は絶対に覚えましょう。

  1. クロム酸イオン ($CrO_4^{2-}$): 黄色
  1. 二クロム酸イオン ($Cr_2O_7^{2-}$): 赤橙色(オレンジ色)

反応式(平衡):

 

 

$$2CrO_4^{2-} (\text{黄}) + 2H^+ \rightleftharpoons Cr_2O_7^{2-} (\text{赤橙}) + H_2O$$

② 黄色い沈殿・赤い沈殿

クロム酸イオン(黄色)は、特定の金属と出会うと沈殿を作ります。

2. マンガン(Mn):最強の酸化剤(p.275-276)

マンガンで覚えるべき物質は2つだけです。

① 過マンガン酸カリウム ($KMnO_4$)

② 酸化マンガン(IV) ($MnO_2$)

3. 鉄(Fe):2つの顔を持つ金属(p.276)

鉄イオンには、$Fe^{2+}$(2価)と $Fe^{3+}$(3価)の2種類があります。

この2つを見分ける**「検出反応」の表は、無機化学の最重要暗記項目**です!

① 基本カラー

② 検出反応マトリックス(表で覚える!)

試薬を加えたときに、どんな色になるか整理しましょう。

加える試薬Fe2+(淡緑色)Fe3+(黄褐色)
塩基 ($NaOH, NH_3$)

緑白色沈殿

 

$Fe(OH)_2$

赤褐色沈殿

 

$Fe(OH)_3$

ヘキサシアノ鉄(III)酸K

 

$K_3[Fe(CN)_6]$

濃青色沈殿

 

(ターンブル青)

褐色溶液

 

(変化なし)

ヘキサシアノ鉄(II)酸K

 

$K_4[Fe(CN)_6]$

青白色沈殿

濃青色沈殿

 

(ベルリン青/プルシアンブルー)

チオシアン酸K

 

$KSCN$

変化なし

血赤色溶液

 

(真っ赤!)

覚え方のコツ:

  1. 濃青色(濃い青)になるのは「数字が違うとき」
  1. 真っ赤(血赤色)になるのは $Fe^{3+}$ だけ

まとめ

  1. クロムの変色:
  1. マンガンの変色:
  1. 鉄の検出(青色):
  1. 鉄の検出(赤色):

銅の青と銀の光

1. 銅(Cu):青色の変化を見逃すな!(p.277)

銅イオン($Cu^{2+}$)を含む水溶液は、きれいな青色をしています。ここに塩基を加えると、劇的な変化が起こります。

① 2段階の変色反応(超重要)

この実験の流れは、ストーリーとして暗記しましょう。

  1. スタート: $Cu^{2+}$ の水溶液(青色)。
  2. アンモニア水(または$NaOH$)を「少量」加える:
  1. アンモニア水を「過剰に(ドバドバ)」加える:

注意!

過剰に加えて溶けるのは「アンモニア」のときだけです。$NaOH$を過剰に加えても溶けません(両性元素ではないからです)。

② 銅の酸化物(色の違い)

銅を焼くと黒くなりますが、条件によって色が違います。

2. 銀(Ag):沈殿と写真の化学(p.278)

銀イオン($Ag^+$)は無色ですが、いろいろなものと反応して沈殿を作ります。

① 褐色の沈殿(ひっかけポイント)

銀イオンに塩基($NaOH$など)を加えると、本来なら「水酸化銀($AgOH$)」ができそうですが、これは不安定すぎてすぐに水が抜けてしまいます。

結果として、酸化銀 ($Ag_2O$) の褐色沈殿ができます。

 

$$2Ag^+ + 2OH^- \longrightarrow Ag_2O (\text{褐色}) + H_2O$$

その後: ここにアンモニア水を過剰に加えると、無色の錯イオン(ジアンミン銀(I)イオン $[Ag(NH_3)_2]^+$)となって溶けます。

② ハロゲン化銀のグラデーション

第3章(ハロゲン)でもやりましたが、復習です。銀とハロゲンがくっつくと、色がだんだん濃くなります。

③ 写真の原理(感光性)

ハロゲン化銀(特に$AgBr$)に光が当たると、分解して**銀($Ag$)が析出します。

 

 

$$2AgBr \longrightarrow 2Ag + Br_2$$

 

この銀の粒子が黒く残ることで、映像が記録されます。これを「感光性(かんこうせい)」**といいます。

3. 鉄・銅・銀の反応まとめ(p.277)

最後に、これまで出てきた遷移元素のイオン反応を整理した表(p.277 表の下)を確認しましょう。

「アンモニア水を過剰に入れたとき」の反応が最大の識別ポイントです。

金属イオン少量のアンモニア過剰のアンモニア
$Fe^{2+}$ (淡緑)緑白色沈殿溶けない
$Fe^{3+}$ (黄褐)赤褐色沈殿溶けない
$Cu^{2+}$ (青)青白色沈殿深青色溶液に溶ける
$Ag^{+}$ (無色)褐色沈殿無色溶液に溶ける

全体の総まとめ:無機化学完走!

これで、遷移元素の化合物まで含めた解説はすべて完了です。

今回のポイント:

  1. 銅のアンモニア反応: 青色沈殿 $\to$ 深青色溶液(テトラアンミン銅イオン)。
  2. 銀の塩基反応: 水酸化物ではなく**酸化銀(褐色)**が沈殿する。
  3. 銀のアンモニア反応: 無色の錯イオンになって溶ける。
  4. 写真の原理: ハロゲン化銀が光で分解して銀が出る(感光性)。

金属探偵の「7つ道具」

金属イオンを分離するためには、「この金属は、この薬品を入れると沈殿する(固まる)」というルールを頭に入れておく必要があります。

教科書p.279の表24が**「最強のカンニングペーパー」**です。これを以下のグループごとに整理して覚えましょう。

1. 塩化物イオン ($Cl^-$) で捕まえる(p.279)

希塩酸($HCl$)を加えたとき、沈殿するのは2つだけです。

2. 硫化物イオン ($S^{2-}$) で捕まえる(p.280)

硫化水素($H_2S$)ガスを通すときは、**「液性が酸性か塩基性か」**で捕まえられる相手が変わります。これが最大の難所です。

① 酸性でも沈殿する(イオン化傾向が小さい金属)

イオン化傾向が小さい金属は、硫黄との結びつきが強いため、酸性条件($S^{2-}$が少ない状態)でも沈殿します。

② 塩基性(中性)でないと沈殿しない(イオン化傾向が中くらいの金属)

イオン化傾向が少し大きい金属は、酸性では溶けたままで、中性〜塩基性にして初めて沈殿します。

理屈(コラム):

酸性条件では $H^+$ が多いため、$H_2S \rightleftharpoons 2H^+ + S^{2-}$ の平衡が左に寄り、$S^{2-}$ の濃度が極端に低くなります。そのため、よほど沈殿しやすい(溶解度積が小さい)金属しか沈殿できないのです。

3. 水酸化物イオン ($OH^-$) で捕まえる(p.280)

塩基($NaOH$や$NH_3$)を加えると、ほとんどの金属は水酸化物になって沈殿しますが、**「入れすぎると溶ける」**やつらがいましたね。

① 過剰の $NaOH$ に溶ける(両性元素)

② 過剰の $NH_3$ に溶ける

③ 沈殿の色(再確認)

4. その他の試薬(p.279 表24)

まとめ:沈殿ルール

この表が頭に入っていれば、謎解きは簡単です。

  1. 酸性で $H_2S$ 沈殿: $Cu, Pb, Ag$ など(黒)。
  2. 塩基性で $H_2S$ 沈殿: $Zn$(白)、$Fe$(黒)など。
  3. $HCl$ で沈殿: $Ag, Pb$(白)。
  1. $NaOH$ 過剰で溶解: $Al, Zn, Pb$。
  2. $NH_3$ 過剰で溶解: $Ag, Cu, Zn$。

 

謎解き!金属イオン分離の全手順

今回のミッション:

混合水溶液に入っている $Ag^+, Pb^{2+}, Cu^{2+}, Fe^{3+}, Zn^{2+}, Ba^{2+}$ の6人を、順番に一人ずつ捕まえて分離せよ。

第1関門:塩酸 ($HCl$) で捕まえる(p.281, 282)

まず、希塩酸を加えます。ここで脱落するのは「沈殿ルール1」のメンバーです。

★ここでの識別ポイント(操作②)

白い沈殿が2つ混ざってしまいました。どうやって分ける?

$\longrightarrow$ **「熱湯」**を注ぎます!

第2関門:酸性で硫化水素 ($H_2S$) で捕まえる(p.281, 282)

酸性のまま、硫化水素を通じます。ここで捕まるのは「イオン化傾向が小さい」メンバーです。

★ここでの確認(操作③)

第3関門:煮沸・酸化してアンモニアを加える(p.281, 282)

ここが一番の手順の山場です。3つの操作を連続で行います。

  1. 煮沸する: 邪魔な$H_2S$ガスを追い出すため。
  2. 硝酸を加える: $Fe^{2+}$ を $Fe^{3+}$ に戻す(酸化する)ため(※$Fe(OH)_3$の方が沈殿しやすいから)。
  3. アンモニア水を過剰に加える: 塩基性にするため。

第4関門:塩基性で硫化水素 ($H_2S$) で捕まえる(p.281, 282)

塩基性になった液に、再び硫化水素を通じます。

第5関門:炭酸アンモニウムで捕まえる(p.281, 282)

最後に残ったバリウムなどを捕まえます。炭酸アンモニウム $(NH_4)_2CO_3$ を加えます。

最後の残り:ろ液の中にいるのは?(p.282)

最後まで沈殿せずに生き残ったろ液には、ナトリウムイオン($Na^+$) や カリウムイオン($K^+$) が含まれている可能性があります。

これらは、炎色反応(Na:黄、K:赤紫)で確認します。

全体の総まとめ:分離の流れを一言で

  1. 酸・$H_2S$ $\to$ ($CuS$)が黒沈殿。
  2. アンモニア過剰 $\to$ ($Fe(OH)_3$)が赤褐沈殿。(亜鉛は錯イオンで逃げる!)
  3. 塩基・$H_2S$ $\to$ 亜鉛($ZnS$)が白沈殿。
  4. 炭酸塩 $\to$ バリウム($BaCO_3$)が白沈殿。

 

 

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