国の元気はどう測る?景気と物価、そして政府の奥の手!
最終更新日: 2025-06-02 10:08:08
作成者: カリスマ講師
前回は、市場が万能じゃない「市場の失敗」と、それを助けるために政府がどんな役割を果たすのか(ミクロ経済政策)って話をしたよな。
さあ、今日はいよいよ視点をグーッと空高く上げて、国全体の経済、つまり**「マクロ経済」**の世界にダイブするぞ! 「日本の景気って良いの?悪いの?」「物価が上がるってどういうこと?」「不景気の時、政府や日本銀行って何してるの?」――そんな、ニュースでもよく聞くけど、実はよく分からない?って疑問を、今日でスッキリ解決だ!
1. 国の経済力って何で測るの?最強のモノサシ「GDP」!
まず、国全体の経済の大きさや元気度を測るための、超有名なモノサシがある。それが**「GDP(国内総生産)」**だ!
- GDPって何者?: 簡単に言うと、「一定期間(ふつうは1年間)に、国内で新しく生み出されたモノやサービスの付加価値の合計」のこと。
- 「付加価値」ってのがポイントで、例えばパン屋さんなら、仕入れた小麦粉の値段と、実際に売れたパンの値段の差額、つまりパン屋さんが新しく付け加えた価値の部分だな。
- なんでGDPが大事なの?: GDPが増えれば経済が成長してるってことだし、GDPの増え方(経済成長率)を見れば、景気の良し悪しもある程度判断できるんだ。まさに、国の経済の「健康診断結果」みたいなもんだな。
- GDPの三つの顔(三面等価の原則): GDPは、①どれだけ作られたか(生産面)、②それが誰の所得になったか(分配面)、③誰が何に使ったか(支出面)の3つの側面から見ることができて、これらは原則として同じ額になるんだ(細かいことはまた今度な!)。
- 名目と実質、どっちがホント?: GDPには「名目GDP」と「実質GDP」がある。
- 名目GDP: その時の市場価格で計算したGDP。物価が上がれば、生産量が同じでも名目GDPは増えちゃう。
- 実質GDP: ある基準の年の価格で計算したGDP。物価変動の影響を取り除いてるから、こっちの方が実際の生産量の変化、つまり経済の本当の元気度を表しやすいんだ。ニュースで「実質成長率〇%!」とか言うのは、この実質GDPのことだぞ。
2. いい時もあれば悪い時もあるさ!「景気変動」の波!
「景気が良い」「景気が悪い」ってよく言うけど、**「景気」っていうのは、経済活動全体の活発さの度合いのことだ。 景気は、ずーっと同じ状態じゃなくて、波のように良くなったり悪くなったりを繰り返す。これを「景気循環」**って言うんだ。
- 景気の4つの顔: 好況(イケイケな時)→後退(ちょっと陰りが見えてきた…)→不況(どん底…)→回復(お、少し上向いてきたぞ!)っていうサイクルを繰り返すことが多い。
- 良すぎてもダメ、悪すぎてもダメ: 景気が良すぎる(過熱する)と、モノの値段が上がりすぎるインフレが心配になるし、逆に景気が悪すぎると、仕事がなくなったり(失業)、会社が倒産したり、大変なことになる。だから、この波をできるだけ穏やかにするのが大事なんだな。
3. モノの値段が動く!「インフレ」と「デフレ」の恐怖!
景気と深く関わってくるのが**「物価」**、つまり世の中のいろんなモノやサービスの値段の平均だ。
- インフレーション(インフレ): 物価が持続的に上がり続ける状態のこと。
- なんで起きるの?: みんなが「欲しい!欲しい!」ってなって需要が増えすぎる「需要インフレ」とか、石油みたいな原材料の値段が上がって、それが商品価格に上乗せされる「コストプッシュインフレ」とかがある。
- 何が困るの?: お金の価値が実質的に下がっちゃう(昨日100円で買えたものが、今日120円出さないと買えないとか)。貯金してても、その価値が目減りしちゃう。でも、ゆるやかなインフレ(マイルドインフレ)は、経済が元気な証拠とも言えるんだ。
- デフレーション(デフレ): 逆に、物価が持続的に下がり続ける状態のこと。
- なんで起きるの?: みんながモノを買わなくなって需要が減ったり、モノが余りすぎたりすると起きる。
- 何が困るの?: こっちの方が厄介で、物価が下がる→企業の売上・利益が減る→給料が下がる・リストラが増える→みんなますますモノを買わなくなる→さらに物価が下がる…っていう悪循環(デフレスパイラル)に陥りやすい。日本も長年このデフレに苦しめられてきたんだ。
- 最悪のコンビ!「スタグフレーション」: めったにないけど、景気が悪い(不況)のに、物価だけは上がり続けるっていう、家計にとってはダブルパンチの最悪な状態もある。昔のオイルショックの時なんかがこれだ。
4. 国の経済を安定させる!政府と日銀の「奥の手」!
さあ、こんな景気の波や物価の変動に対して、国は何もしないで見ているだけじゃない! 政府や中央銀行(日本では日本銀行、略して日銀!)が、いろんな政策を駆使して、経済を安定させようとするんだ。これを**「経済政策(マクロ経済政策)」**っていう。 主な目的は、「経済の安定的な成長」「物価の安定」「みんながちゃんと働ける状態(完全雇用)の達成」だ!
- 政府の得意技!「財政政策」! これは、政府が税金(歳入)の使い方(歳出)を調整することで、景気をコントロールしようとする政策だ。
- 景気が悪い時(不況だ!助けて!):
- 公共事業を増やす!(道路や橋を作ったりして、仕事を生み出し、世の中のお金の流れを良くする)
- 減税する!(みんなや会社が使えるお金を増やして、もっと買い物したり、新しい機械を買ったりしてもらう) → これで、世の中全体の需要を増やそうとするんだ(拡張的財政政策)。
- 景気が良すぎる時(ちょっと落ち着こうぜ!):
- 公共事業を減らす!
- 増税する! → これで、世の中全体の需要を抑えようとする(緊縮的財政政策)。
- でも課題も…: こういう政策をやりすぎると、政府の借金(国債)がどんどん増えちゃって、将来世代にツケを回すことになるっていう問題(財政赤字)もあるんだ。
- 景気が悪い時(不況だ!助けて!):
- 日本銀行の魔法の杖!「金融政策」! これは、日銀が、世の中に出回るお金の量や、お金の貸し借りの値段である「金利」を調整することで、物価の安定と経済の成長を目指す政策だ。
- 景気が悪い時(お金が足りないぞ!もっと回せ!):
- 金利を下げる!(会社がお金を借りやすくなって、新しい工場を作ったりしやすくなる。個人も住宅ローンを組みやすくなる)
- 市場にお金をいっぱい供給する!(日銀が銀行から国債などを買って、その代金を銀行に支払うことで、銀行が企業や個人に貸し出すお金を増やす。「買いオペレーション」って言うぞ) → これで、世の中のお金の流れをスムーズにして、経済を元気にしようとする(金融緩和政策)。
- 景気が良すぎる時(インフレが心配だ!ちょっと冷やそう!):
- 金利を上げる!
- 市場からお金を吸い上げる!(日銀が銀行に国債などを売って、その代金を受け取ることで、銀行が貸し出せるお金を減らす。「売りオペレーション」って言うぞ) → これで、経済の過熱を抑えようとする(金融引締め政策)。
- 最近のトレンド: 長引くデフレ脱却のために、日銀は「マイナス金利政策」とか「量的緩和政策」みたいな、これまであまりやらなかった大胆な金融政策もやってきたんだ。
- 景気が悪い時(お金が足りないぞ!もっと回せ!):
どうだったかな? 国全体の経済がどうやって動いていて、それに対して政府や日銀がどんな「奥の手」を使ってコントロールしようとしているのか、その壮大なドラマが見えてきたんじゃないか? これで、ニュースで「GDPが…」「日銀が金利を…」なんて言葉が出てきても、「ああ、あの話だな!」ってピンとくるようになるはずだぜ!
さあ、これで経済の基本的な仕組みと、それに対するミクロ・マクロ両面からの政策の話が、だいたい出そろった感じだな!テキストで言うと、経済編の主要な骨格がガッチリ固まったぜ!
次回は、この知識を土台にして、今の日本経済が抱えているリアルな課題(例えば、少子高齢化が経済にどう影響するの?とか、日本の借金って大丈夫なの?とか)や、もっと視野を広げて、世界経済とのつながり(貿易とか為替とか)について見ていこう!