市場はいつも正しい? "市場の失敗"と政府の出番!
最終更新日: 2025-06-02 06:44:46
作成者: カリスマ講師
前回は、需要と供給っていう市場の魔法の力で、モノの値段がどうやって決まるのか、そのスリリングなメカニズムを解き明かしたよな。「見えざる手」が俺たちの経済をいい感じに調整してくれるって話だった。
でもな、世の中そんなに単純じゃないんだ。「市場に任せておけば万事OK!」ってわけでもない。実は、市場がうまく機能しないケース、つまり**「市場の失敗」**ってやつがあるんだ。 今日は、その「市場の失敗」って一体何なのか、そしてそんな時、俺たちの頼れるヒーロー(?)「政府」がどうやって登場するのか、その辺のドラマをじっくり見ていこうぜ!
1. 「市場の失敗」って、一体なにがどうなっちゃうの?
「市場の失敗」っていうのは、市場メカニズム、つまり「見えざる手」に任せておくだけだと、資源が効率的に使われなかったり、みんなにとって公平じゃなくなっちゃったりする状態のことだ。 「あれ?なんかおかしいぞ?」「これじゃ困る人が出てくるぞ!」ってケースだな。
じゃあ、具体的にどんな「失敗」があるのか、見ていこう!
① 独占・寡占市場のワナ!「競争相手がいないと、やりたい放題!?」
- たくさんの企業が自由に競争していれば、良い商品を安く提供しようって頑張るよな。でも、もし市場をたった1社(独占)か、数社(寡占)だけで支配しちゃったらどうなる?
- 競争相手がいないから、企業は値段を不当に吊り上げたり、わざと供給量を減らして品薄にしたり、やりたい放題できちゃうかもしれない。そうなると、困るのは俺たち消費者だ!
- 例えば、昔の電話サービスとか(電電公社、今のNTTになる前だな)、あるいは今のビール業界みたいに数社で大きなシェアを握ってる場合も、お互いに暗黙の了解で高い値段を維持しちゃう…なんてこともあり得る。
- 政府の出番!: こういうやりたい放題を防ぐために、独占禁止法っていう法律があって、公正取引委員会っていう組織が厳しく監視してるんだ。「不当な取引制限は許さんぞ!」ってな。他にも、価格に上限を設けたり、新しい企業が参入しやすくしたりする政策もあるぜ。
② 公共財・公共サービスが足りない!「タダ乗りは困るけど、ないともっと困る!」
- 国防、警察、消防、公園、街灯、きれいな空気…。こういうのって、みんなが生きていく上で必要不可欠だよな。こういうモノやサービスを**「公共財」とか「公共サービス」**って言うんだ。
- 公共財には2つの大きな特徴がある。
- 非競合性: 俺が公園の景色を楽しんでも、他の人が楽しめなくなるわけじゃない。たくさんの人が同時に使える。
- 非排除性: お金を払わない人を「使うな!」って排除するのが難しい。花火大会を見るのにお金払ってない人を見つけるのは大変だろ?
- この「非排除性」がクセモノで、「どうせタダで使えるなら、お金払わなくてもいっか!」って思う人が出てくる(これをフリーライダー問題とか言う)。そうすると、企業は「儲からないから作りたくないな…」ってなって、誰も供給しなくなっちゃうかもしれない。
- 政府の出番!: だから、こういう公共財や公共サービスは、市場に任せるんじゃなくて、俺たちが納めた税金を使って、政府や地方公共団体が責任を持って供給してるんだ。
③ 外部性のイタズラ!「隣のリンゴと、工場の煙」
- **「外部性」**っていうのは、ある人の経済活動が、市場を通さずに、他の人に影響を与えちゃうことだ。
- 良い影響を与える場合を**「外部経済(正の外部効果)」**って言う。
- 例えば、君の家の隣の人がすごくキレイな花壇を作ったら、君は毎日それを見て癒されるかもしれない。でも、君はそのお礼を払うわけじゃないよな? 果樹園の隣で養蜂家がミツバチを飼うと、果樹園は受粉してもらえて、養蜂家はハチミツが採れる。お互いハッピーだけど、市場でお金のやり取りはない。
- こういう良い影響は、やった人に見返りがあまりないから、社会全体にとって必要な量よりも少なく供給されがちだ。
- 政府の出番!: 補助金を出したりして、もっと積極的にやってもらうように促すことがある。
- 悪い影響を与える場合を**「外部不経済(負の外部効果)」**って言う。こっちが問題になりやすい。
- 例えば、工場が汚い煙や排水をまき散らして、周りの環境が悪くなったり、近くの住民が病気になったりする。でも、工場はその被害に対するコストを全部払ってないかもしれない。騒音なんかもそうだな。
- こういう悪い影響は、コストを社会に押し付けてるから、社会全体にとって望ましい量よりも過剰に供給されがちだ。
- 政府の出番!: 法律で規制をかけたり(大気汚染防止法とか)、汚染物質を出す企業に税金をかけたり(炭素税とか)、排出できる量に上限を設けてその権利を売買させたり(排出量取引制度)するんだ。
④ 情報が偏ってる!「知ってるのはアナタだけ…」
- **「情報の非対称性」**って言って、売り手と買い手で、持っている情報に大きな差がある場合も問題が起こる。
- 例えば、中古車を買うとき。売り手はその車が過去に事故を起こしたことを知っていても、買い手には隠すかもしれない。病院で治療を受けるときも、お医者さんは専門知識を持ってるけど、患者さんはよく分からないままだよな。
- そうすると、質の悪い商品が高値で売られたり、消費者が不利な契約を結ばされちゃったりする。
- 政府の出番!: 企業に情報公開を義務付けたり、専門的な資格制度を設けたり、第三者機関が品質をチェックしたりする仕組みを作って、この情報の格差を少しでも埋めようとするんだ。
⑤ 所得格差が広がりすぎ!「がんばっても報われない…?」
- 市場経済は、自由な競争を通じて効率性を高めるけど、必ずしも「公平な結果」をもたらすとは限らないんだ。生まれ持った才能や環境、あるいは単なる運によって、所得に大きな差が生まれちゃうことがある。
- あまりにも格差が広がりすぎると、社会が不安定になったり、貧しい人がチャンスすら得られなくなったりする。
- 政府の出番!: 税金の取り方で調整する(所得が多い人ほど税率が高くなる累進課税制度とか)、年金や医療保険、生活保護みたいな社会保障制度を充実させて、所得の差を少しでも和らげようとする(これを所得再分配って言うんだ)。
2. だからこそ、政府の役割が大事なんだ!
こんな風に、「市場の失敗」が起きると、俺たちの生活や社会全体にとって良くないことが起きる。 だから、政府はただ市場を眺めているだけじゃなくて、いろんな経済政策を使って、これらの問題を解決しようとするんだ。
- 市場のルールを作って、みんなが公正に競争できるようにする。
- 公共財や社会保障を提供して、みんなが安心して暮らせるようにする。
- 環境を守ったり、格差を是正したりして、社会全体のバランスを取る。
どうだったかな? 市場経済って素晴らしいけど、万能じゃない。そして、その「足りない部分」を補うために、政府がいろんな役割を果たしているってことが分かったんじゃないか?
さあ、次回は、もっと大きな視点から経済を見ていくぞ! 国全体の経済の元気度(景気)ってどうやって測るの? 物価が上がったり下がったりするのはなぜ? そんな国全体の経済(マクロ経済)の動きと、それに対して政府や日本銀行がどんなダイナミックな政策(財政政策や金融政策)を打ち出してくるのか、っていうスケールの大きな話に入っていくぜ! ワクワクするだろ?
今日の話で、「これって、あのニュースのことかな?」とか「うちの近所のあの問題も市場の失敗?」とか、何かピンとくることがあったら、ぜひ教えてくれよな! 君の気づきが、学びをさらに深めるんだ!🔥